グローバルキャリア塾 連載コラム

次世代教育 (第44回)

第44回:迷える青年 (6)

株式会社E-Concierge
代表取締役

斉藤 克明 (さいとう かつあき)

11981年より一貫して海外の初等・中等教育コンサルティングに携わる。1999年、中学・高校留学ガイドを出版。 2001年、日本人初のアメリカに本部を置くIECA(教育コンサルタント協会)のメンバーとなる。E-Concierge代表取締役、海外留学協議会副理事長。

株式会社E-Concierge

(2012年7月23日掲載)

中学校から高校へ向かう青年を、お母さんは
「反抗期だから・・・」といって、ここはじっくり本人と
向き合う覚悟をきめているようです。
今のところ、お母さんから本人へのストレートな指示は
ことごとく跳ね返されているようです。
まさに北風と太陽の話そのものです。力ずくは絶対に無理でしょう。
もちろん、お母さんもそのことは百も承知です。
しかし、いざ息子と相対すると自分の気持ちが抑えきれません。
それは、今まで15年間にわたってそれが成り立ってきたからでしょう。
それを打ち壊してあらたな親子関係を作ることは、
簡単なことではありません。

子どもが生まれた時から今までのヒストリーをことごとく
記憶しているのはお母さんであり、わが子のために問題解決も
たくさんしてきて、苦しい時もうれしい時も一緒に過ごしたという
実感があります。故に、急なわが子の意識変革についてゆけないのも、
無理のないことだと思います。

家族でしか起こりえないこの種の問題を私はたくさん見てきました。
どんなケースにおいても、私は、悩める生徒、反抗期の生徒に落胆したり、
させられたことはありません。
彼らは一様に、私の話をよく聞き、私を尊重してくれます。
そなわち、子どもは自然に社会性を身につけ、人とうまくやる術を
成長の過程で学んでいるわけです。
お母さんの表現する「子ども」と私の接する実際の「子ども」の間には
大きな格差があるわけです。
この青年も私と「ため口」では話しません。
敬語の使い方がわからないような非常識な人間ではありません。
学力、知識という点では、お母さんは不満かもしれませんが、
それは、すでにお母さんの手の届く範囲のことがらではありません。

あらたな親子関係の構築が二人に求められているわけです。
今までのお母さんの子に対する接し方の根本的な見直しが必要と思います。
良い悪い、正解不正解といった問題ではありません。
どんなに立派な青年心理学の先生の指導を受けても、本を読んでも、
お母さんと子どもが「自分」を変えようという意識で接しない限り、
回答はないのだと思います。そして、すでに子どもは「変身」モードに
入っています。Mom, I am a man not your toyとある生徒が
英語の理解できるお母さんに言うのを聞いたことがありますが、
お母さんにしてみれば、I am doing not what I want but what you want.
子どもは、No way! You selfish ・・・・.
それに対し母は、Don’t talk back to me. You are my son.
そして、子どもは、Oh, I don’t understand. You don’t listen to me.
英語圏でも日本でも親子の文化、母子の関係は相似形と言えるでしょう。

結局、子どものほうが若い分だけ、自分の接する社会が変わることで
自然に自分の在り方を変えることができると思います。
言葉を覚えるスピードが子どものほうが大人よりも数倍、
数十倍速いのは、環境を抵抗なく受けいれることができるからでしょう。

お母さんはそれが難しいのだと思います。無理もありません、
自分がおなかをいためて生んだわが子ですから、
今までのわが子独占状況がドラスティックに変化するのですから。
「あなたのため」という魔法の言葉が効かなくなるわけですから。

こんな時、父親は意外と冷静になれます。
子どもとのクローズドな人間関係がそもそもないわけですから、
その分、親子の関係を客観視できるわけです。
母子の関係、とくに子が男の場合は、ここで父親の出番となるわけです。

< つづく >

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