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「日本人ママとキューウィー義父さん」第11回

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日本人ママとキューウィー義父さん

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第11回:狩の掟

マクリーンえり子

エバコナ EVAKONA
学校長

マクリーンえり子


1950年、東京生まれ。大学卒業後に1年間イギリスに滞在、帰国後は海事広報協会の旬刊紙「海上の友」記者。結婚して3人の子をもうけるが、1989年に母子4人でニュージーランド(NZ)に渡り、その後NZ人と再婚。1990年から地元の公立高校で日本語教師として教える。2001年に退職し、高校に隣接した場所で、NZの大学や高校に留学を希望する生徒たちのための準備校・補習校として語学学校EVAKONA(エバコナ) を開校する。2008年8月には共同通信社発信、日本全国34紙で掲載中の「日本遠望」でその教育活動が紹介された。ニュージーランドから電話、スカイプでの無料教育相談も受けている。

牧場で育った義父さんにとって狩猟や川釣りは実質を兼ねた遊びだった。牧場では銃は必需品であり、小さい時から父親が銃を使うのを見て育ち、少し大きくなってからは自分も狩に参加してきた。

子供の頃、義父さんに与えられた家の手伝いの一つは犬の餌の調達だったという。ニュージーランドのファーマーにとって良く訓練された牧用犬は大事な労働力で、義父さんの家でも常に2, 3匹の犬を飼っていた。

そして当時、その犬たちの餌にしていたのは野性のやぎの肉だった。野性のやぎは大事な牧草を食べてしまうのでいずれにしても殺さなければならない。その頃、義父さんの住んでいた牧場には野生のやぎがたくさんいたので定期的にそれをしとめて大事な犬の餌にしていたのだ。

義父さんの父親は毎回、銃に2発だけ玉を込めて義父さんに渡して言ったそうだ。「できるだけ一発でしとめろ、もし一発で死ななかったらもう一発でとどめをさしなさい。でも、確実にしとめられるとき以外は絶対に銃を発射しちゃいけないよ」と。彼は2発玉を込めたまま空手で帰るか、撃ってやぎを持って帰るかのどちらかしか許されなかったという。そんなわけで彼の狩猟の腕はどんどんあがり、四季折々に父親や兄弟と鴨猟、いのしし狩り、鹿狩り、オポッサム狩りと楽しんだ。

だから私と一緒になってからも義父さんは定期的に狩に出かけていった。5月の鴨猟に始まって、7月には野生の七面鳥を撃つ。いのししや野生のやぎは必要に応じて、そして時にはヘリコプターで山奥に乗りこんで野鹿を狙う。

私も子供たちもこれまで何度か鴨猟に付き合った。鴨猟は毎年5月の第一土曜日に解禁になる。その日になると義父さんは日の出前に起き出して迷彩服に身を固める。付いていく私たちもなるべく目立たない色の服を着て車に乗り込む。目指すは義父さんの弟のファーム。そこでは弟が前日から水場に木製のおとりの鴨を仕掛けて待っている。

あたりが少しずつ明るくなり始めると私たちは水場を目指して出発した。銃を持たない私は言われたとおり銃を持った男たちの3メートルほど後ろをそっとついて歩く。そして目的地につくと茂みに隠れてじっと待つ。

鴨は飛んでいるところを撃つというのがルールなので、みんなはおとりの鴨につられて飛んでくる鴨をまっているのだ。すると鴨独特の鳴き声が聞こえてきた。最初の群れが飛んできたのだ。群れが至近距離に近づくとみんな一斉に茂みから立ち上がり銃を撃つ、鴨がばたばたと落ちてくると、こんどはそれまでおとなしく隠れていた犬が大活躍をはじめる。水の中、藪の中から獲物を拾ってくるのだ。

猟師達はその朝、それを繰り返しながら何キロも牧場内を歩き回り、たくさんの鴨をしとめた。それはなかなか体力の要る遊びだが、鴨を待つときの緊張感、撃つときの集中力、犬とのチームワークなど彼らにとってはとても楽しいスポーツのようだ。

しかし自然の中での遊びは常に危険と隣り合わせだ。銃を持っているときには常に相手の行動範囲を確認しながら進む。それは間違って相手を撃ってしまわないようにするためだ。

「若い頃には週末によく弟と2人で銃とつり竿を担いで1日中ファームを歩き回ったものさ」と義父さんは言う。川で鱒を釣り、昼にはそれを料理して食べ、外で一日中過ごしたそうだ。

そんな風に子供の時からアウトドアで育った義父さんには私たち都会人間が1日中家のなかで時間を過ごして平気でいられるのが理解できないと言う。義父さんはことあるごとに私たちを外の世界に連れ出そうとした。そのお蔭で猟だけでなく、大型オートバイでのツーリングや軽飛行機の楽しみを覚え、子供達もサイクリング、セーリング、釣り、ダイビング、サーフィンなどなど、今ではすっかりアウトドアが生活の一部になってしまった。

そしてもちろんそのアウトドアを楽しむ中で、私たちもいつの間にか自然の掟を学んでいったのだった。

 

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