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「日本人ママとキューウィー義父さん」第14回

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日本人ママとキューウィー義父さん

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第14回:18歳の誕生日パーティー

マクリーンえり子

エバコナ EVAKONA
学校長

マクリーンえり子

1950年、東京生まれ。大学卒業後に1年間イギリスに滞在、帰国後は海事広報協会の旬刊紙「海上の友」記者。結婚して3人の子をもうけるが、1989年に母子4人でニュージーランド(NZ)に渡り、その後NZ人と再婚。1990年から地元の公立高校で日本語教師として教える。2001年に退職し、高校に隣接した場所で、NZの大学や高校に留学を希望する生徒たちのための準備校・補習校として語学学校EVAKONA(エバコナ) を開校する。2008年8月には共同通信社発信、日本全国34紙で掲載中の「日本遠望」でその教育活動が紹介された。ニュージーランドから電話、スカイプでの無料教育相談も受けている。

今やどこの国でも未成年の飲酒や喫煙の問題は大きいようだが、ニュージーランドでも同じで、未成年の飲酒や喫煙をコントロールすることはなかなか難しい。 現在のニュージーランドの法律では18歳になればお酒が飲めるし、タバコも吸える。そして18歳以下の場合は親が許可すれば、大人の監視下で親が許した量は飲んでもいいことになっている。
 
末息子が16歳になると、やはり飲酒パーティーのお誘いが始まった。ある日、彼はパーティーに招かれたのでビールの小瓶を半ダース持って行きたいと言い出した。そこで義父さんは我が家での飲酒のルールを作る。
1.いつ、どこで、だれ主催のパーティーか、大人の参加者は誰かきちっと親に知らせ許可を取る。
2.パーティーの後の安全な帰宅方法を親に説明する。例えば親に迎えを頼む、タクシーで帰る、寝袋持参でパーティー会場に泊まる、などなど
3.自分のビールは自分がアルバイトで稼いだお金で買う。ただし未成年なのでビールは親にお金を渡して買ってもらい、親にパーティー会場まで届けてもらう。

末息子はそれを承諾し、18歳になるまではそのルールを守ってパーティーに出かけて行った。

そして、その彼がついに18歳の誕生日を迎えた。
「誕生日のプレゼントには何が欲しいの?」と私が聞くと、彼はニヤリと笑って「樽のビール」という。そして義父さんが使っている大きな納屋の半分をパーティー会場に使わせて欲しいという。義父さんはあっさりとそれを許可するが「当日は納屋の中で火だけは使わないように」と条件をつける。納屋には燃えやすいものがいっぱい入っているからだ。

パーティーの前日、息子は友達を2人ほど連れてきて、早速、会場作りに取り掛かる。納屋から大きな古トラックを出し、材木を担ぎ出し、3人がかりですっかり納屋を空っぽにすると、今度は家から重いビリヤードテーブルを担ぎ出してすえつける。椅子や簡易ソファーなども許可が出ているので母屋から運び出す。これですっかり支度が整った。

誕生日の夜、納屋からは4リットルの樽のビールを囲んで盛り上がっている子供たちの陽気な声が聞こえてくる。もちろん私たちはその夜の監視役でもあり、子供たちの送迎係りでもあったので、声がかかれば車を出すべく納屋に出向いた。するとなんと花火を手にした男の子が奇声を上げながら納屋から飛び出してきたではないか。義父さんがすかさず「オイ、花火は禁止だ」と大きな声で制するとその子は「ごめんなさい!」と平謝り。しかし義父さんはその子には目もくれず末息子を呼ぶと「どういうことだ。火のことは言っただろう」と一喝。それまで納屋の奥で陽気に飲んでいた末息子はまったく事情がわからず驚くが、すぐに事態をのみこむと青ざめた。その場で末息子がもう二度と花火はさせないということを約束してパーティー中止はかろうじて免れたが、きわどい一幕だった。

そして次の日のパーティーの後片付けも末息子にとっては予想外の大仕事だった。家から持ち出した簡易ソファーはどういうわけか水にぬれて使い物にならなくなってしまい、粗大ごみ行きとなったし、ビリヤードテーブルを家に戻し、トラックや材木を納屋に戻すとたっぷり半日が過ぎていた。

「それで結局パーティーは楽しかったの?」と末息子に聞くと、「楽しかったけど、来年はしないよ」と返事が返ってきた。

ニュージーランドではこの農場の納屋を使ったパーティーは一般的で、末息子は高校の卒業時にも学友主催の卒業祝い納屋パーティーに参加して、大いに楽しんだ。パーティーの次の日、農場に末息子を迎えに行って私は驚いた。飲んで騒いでパディック(牧草地)で相撲でもとったのだろうか、全身泥だらけで、その上末息子の片一方の眉毛が剃られていたからだ。

まったく若気の至り、よく懲りないものだと思ったが、でもこうした貴重なパーティー経験をへて子供たちは案外まともな大人になっていくのだろう。



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