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コラム「ボボたちのパリ」第6回

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第6回:仏版「格差社会」


1954年名古屋市生まれ。80年毎日新聞入社。甲府支局、東京社会部、外信部、90-93年アフリカ特派員ハラレ支局長、93-95年同ヨハネスブルク支局長、99-03年ウィーン支局長、03-05年外信部副部長、05-09年パリ支局長、09年4月から現職。著作 『アフリカの底流を読む』(ちくま新書)、『南アフリカ 白人帝国の終焉』(第三書館)。

若者雇用促進策を巡り仏社会は大きく揺れ、この過程で社会格差の広がりがしばしば指摘された。

フランスの教育制度は高校までは日米欧と同しだが、高等教育はソルボンヌ(パリ第1大学)に代表される一般大学と、その上に位置し「グランゼコール」(または「グランド・ゼコール」)と呼ばれる高等教育機関に分かれている。一般大学卒は中産層で、エリートは大学でなく、専門の予備コースに2年間通った後グランゼコールに進む。

中でも▽文系官僚養成学校の国立行政学院(ENA)▽同理系のエコール・ポリテクニック▽文・理系研究職の高等師範学校(エコール・ノルマル・シュープリオール)ーーの3校が頂点。他にも技術系、ビジネス系、法曹系など200余のグランゼコールがあるが、いずれも定員が数十人〜200人のみの狭き門で、01年統計によると、大学生の数は約142万人に対し、グランゼコール生は約8万人。先進国でこれほど少数精鋭制を取るのはフランスだけだ。

アメル氏ジェローム・アメル君(24)はソルボンヌ大経済学部修士過程を終えて銀行の財務調査部門での仕事を希望していた。在学中に大手銀行でインターンシップを経験し、その後同行への就職を希望したが叶わず、グランゼコールの経営大学院(HEC)から来ていた別の学生は就職できた。アメル君は「私は5年間経済や財務を学び実務をより知っていたが、HECは2年間のコース。しかし彼のみが就職できた」と不満顔だった。

グランゼコールに入るには高卒後に選抜で予備コースに進む。アメル君は「予備コースでの勉強はプレッシャーが強すぎると思った。大学では自由に勉強でき、大学院で財務を学べば就職は出来ると思っていた」と話す。しかし、大学は企業とのつながりがほとんどなく、08年夏の燃料高騰などによる不況で一層行き詰まった(この時はまだ国際金融危機が始まる直前だった)。

ルガル氏ミカエル・ルガル君(25)もソルボンヌ大で経済学修士を終了したが就職先が決まらず、考えあぐねた末、有数のグランゼコール、パリ政治学院経済学部修士課程への編入試験を受け、運よく難関を突破した。08年の就職戦線では早々と最大手BNPパリバ銀行から内定を受けた。「大学では『不況で求人数は少ない』と言われたが、パリ政治学院では『求人はいくらでもある』と言われる。両者の差は歴然としている」と話す。

アメル君は「高卒時が分岐点で、その後の人生が大きく異なってくる。高卒資格を持っていればどの大学にも入学でき、授業料も安く平等で自由だが、卒業後の就職は厳しく、グランゼコール卒業生との差は明らかだ。仏社会は平等を国是としているが現実はまったく平等ではない」と嘆く。経済学部生は低賃金のデータ処理やセールス部門なら職を得易いが、文学・哲学・社会学系の大卒者には店員やウエイター以外の職はほとんどない。

仏学生は現状ではグランゼコールに進むか否かで人生が分かれる現実に直面している。そういえば、CPUのデモの時も、参加者は大学生で、(特に経済系の)グランゼコール生はほとんどいなかった。

【同時掲載コラム】 「Mainichi Daily News 編集長の目



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