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コラム「ボボたちのパリ」第7回

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ボボたちのパリ

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第7回:既得権益改革はタブー


1954年名古屋市生まれ。80年毎日新聞入社。甲府支局、東京社会部、外信部、90-93年アフリカ特派員ハラレ支局長、93-95年同ヨハネスブルク支局長、99-03年ウィーン支局長、03-05年外信部副部長、05-09年パリ支局長、09年4月から現職。著作 『アフリカの底流を読む』(ちくま新書)、『南アフリカ 白人帝国の終焉』(第三書館)。

サルコジ政権は大学により自治権を与え、企業との連携強化により実践的な学問を導入する方向での改革を進めた。

大学で中退者が多い点や就職の不満、また国際社会での格付けで仏大学が出遅れている現状などから、政府は07夏「大学の自治に関する法」を採択。
これまで国にあった権限を学長や理事会に移し▼独自に財団を設立し企業からの投資・支援を認め▼独自の学生選抜も認め▼グランゼコールとの交流促進----など、大きく方針を転換させた。

これにより、企業との連携強化から実践的学問の導入や就職率向上が期待された一方、これまでなかった大学間格差の拡大や授業料値上げなども懸念された。大学改革が進んでも「グランゼコール※は常にその上に君臨する」との声も根強く、仏社会では「既得権益への挑戦はタブー」ともされていた。
※グランゼコール:一般大学の上に位置する高等教育機関。詳しくは第6回「仏版『格差社会』」を参照

パリ政治学院仏政界は右派ではシラク前大統領、ドビルパン前首相、左派・社会党もロワイヤル前大統領候補、オランド前第一書記ら文系官僚養成のグランゼコールである国立行政学院(ENA)出身者が主流を占め、サルコジ大統領は珍しく非ENA出身者(パリ政治学院を中退し弁護士となった)だった。大学改革を推進し易い立場にあったが、周囲はやはりグランゼコール卒者が固めており、抜本的改革の芽はみえなかった。


私が赴任する数年前、左派の有力者、シューべヌマン元内相(ENA出身)を中心にENAの解体論が表面化したことがあったが、消息筋によると、有力政治家や官僚たちの猛反対で消えたそうだ。07年末にシューべヌマン氏に会見する機会があり、ENA書いた異論を聞いてみたが、「あれはもう済んだ話だ」と何も語ろうとしなかった。

ソルボンヌ大学正門ENAは毎年100人弱の卒業生の成績順位を発表し、上位15人ほどまでが会計検査院、財政検査官、国務院の有力官庁に就職する伝統となっていた。

仏版「人名録」をみると、ENA卒業者には卒業順位が記載されている。卒業順位が発表され生涯付いて回る事実は日本人には驚きだったが、それが08年度から取りやめとなった。関係者には「大改革」なのだそうだが、私には何が改革なのか分からなかった。

ソルボンヌ大のドレフュス教授(政治学)は「グランゼコールはエリート主義の象徴となっている一方、大衆は尊敬もしている。代替案が難しい点からも改革は容易ではない」と話した。

【同時掲載コラム】 「Mainichi Daily News 編集長の目



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