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コラム「アジアの熱風」第12回

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第12回:高齢化するアジア

西尾 英之さん

英文毎日室長、ザ・マイニチ(旧 毎日デイリーニューズ)
編集長

西尾 英之(にしお ひでゆき)


1963年生まれ。87年毎日新聞入社。福島支局、社会部などを経て03年から特派員としてパキスタン、インド、タイの各国に駐在。12年4月から現職。

世界でもそのサービスや清潔さがナンバー・ワンと評価されることが多いシンガポールのチャンギ空港。あるとき乗り継ぎのために降り立つと、カートを押したターミナル内の清掃作業員に目が止まった。

頭は白髪。腰は深く曲がり、どうみても70歳を超えた高齢者だ。よく見ると清掃作業員だけではない。手荷物カートの整理、タクシー乗り場の誘導員。空港中のいたるところで、働く高齢者の姿が目立つ。

日本は65歳以上の高齢者人口が全体の2割を超え「超高齢化社会」に突入したとされる。だが高齢化は日本だけの問題ではない。高い経済成長を実現してきたシンガポールなど東南アジア主要国では、少子化の進展で日本を上回るペースで「高齢化」が進行中なのだ。

シンガポールは国民一人当たりGDPが5万ドル(約500万円)を超え、日本を上回るアジア・ナンバーワンの豊かさを実現した。一方で出生率は90年代以降急激に下がり続け、2011年には女性が生涯に生む子供の数が1.20人と世界最低水準にまで落ち込んだ。政府はテレビコマーシャルで国民に「子作り」を呼びかけるなど日本以上に熱心に出生率上昇に取り組むが、成果は挙がっていない。

若い世代が減れば、これまで若年層に支えられてきた高齢者の暮らしが行き詰まる。企業の定年退職年齢は段階的に引き上げられ、高齢者再雇用も推進している。知り合いのシンガポール人記者は「年を取っても社会のために働くのは決して悪いことではないが」と前置きしたうえで、「かつては引退後は孫の世話をしながら地域で悠々というのが、年寄りの幸せだった。表面的な暮らしは豊かになったが、高齢者にはつらい世の中になりつつある」と話した。

今はまだシンガポール以外の東南アジア各国では、高齢者対策よりも若い世代の雇用確保のほうが優先。働いているのは若者たちで、どの空港も若々しさにあふれている。

だが、シンガポールに続きタイやマレーシア、インドネシアといった東南アジア主要国は今後30〜40年ほどで今の日本と同程度まで高齢社会化が進むと予測されている。いずれバンコクやジャカルタの空港で、高齢の作業員が腰をかがめて清掃カートを押す姿が普通になるのかもしれない。



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