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コラム「Mainichi Daily News編集長の目」第16回

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第16回 2010.9.1 「パリ20区、僕たちのクラス」

ナバ 高田容冶氏

英文毎日編集部長、毎日デイリーニューズ
編集長

福井 聡 (ふくい さとし)

1954年名古屋市生まれ。80年毎日新聞入社。甲府支局、東京社会部、外信部、90-93年アフリカ特派員ハラレ支局長、93-95年同ヨハネスブルク支局長、99-03年ウィーン支局長、03-05年外信部副部長、05-09年パリ支局長、09年4月から現職。著作 『アフリカの底流を読む』(ちくま新書)、『南アフリカ 白人帝国の終焉』(第三書館)。
パリ支局長時代の経験をもとにフランス社会の抱える問題について書かれたコラム「ボボたちのパリ」も同時連載中です。>>連載コラム「ボボたちのパリ」

毎朝通る神田神保町にある「岩波ホール」で、フランス映画「パリ20区、僕たちのクラス」を上映しており、見てきた。カンヌ映画祭でパルムドールに輝いた話題作だ。パンフレットに「フランスで150万人が見た」とある。

舞台となったパリの20区は、19区と11区にまたがる「ベル・ビル」と呼ばれる移民地域のある場所だ。初めて行った時はたまげた。アフリカ系と中国系が入り交じった感じで、最近は中国系が数を増している。よく言えば「活気ある街」だが、「ゴチャゴチャの街」ともいえる。その地域の中学が舞台なので、教室がどれほど難題を抱えているかは十分に想像できる。

自分たちの生活を見つめさせようと生徒に文章を書かせ、発表させる熱血教師と、それに反発する生徒たちの教室劇だった。民族ごとに背景が違い、勉強の進度や熱意もバラバラの生徒たち。熱血教師が彼らをどうまとめて行くのかと見ていたら、どうにもまとまらない。教師は次第に信頼を失い、クラスはバラバラとなって終わってしまう。アレっ?という感じだった。何も解決していないのにどうしてカンヌはパルムドールを贈り、なぜ150万人ものフランス人が見たのだろうか。

フランス人ならどの町にも移民街があり、郊外には移民系の団地があるので、映画のような学校は十分予測できるはずだと思った。あるいは、「事態は何も解決できない」という終わり方がシュールでうけたのかなとも思った。パリの知り合いのフランス人記者にメールで問い合わせると、「学校という場は勉強だけでなく、真の市民としての基本を身につける場で、教師を信頼せず学校を尊重しない生徒の存在に驚き、不安を募らせたのだろう」との返事だった。映画は改めて多民族社会の現状を見開かせたらしい。

実は、「荒れた教室」の問題は日本でも同じだ。移民問題はなくとも、疎外感から荒れる生徒はいくらもいる。日本人にも目を見開かせる映画が出てくるべきだ。その際、どういう終わり方がいいのか考えてしまった。



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