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コラム「Mainichi Daily News編集長の目」第19回

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第19回 2010.12.1 日本の風景

ナバ 高田容冶氏

英文毎日編集部長、毎日デイリーニューズ
編集長

福井 聡 (ふくい さとし)

1954年名古屋市生まれ。80年毎日新聞入社。甲府支局、東京社会部、外信部、90-93年アフリカ特派員ハラレ支局長、93-95年同ヨハネスブルク支局長、99-03年ウィーン支局長、03-05年外信部副部長、05-09年パリ支局長、09年4月から現職。著作 『アフリカの底流を読む』(ちくま新書)、『南アフリカ 白人帝国の終焉』(第三書館)。
パリ支局長時代の経験をもとにフランス社会の抱える問題について書かれたコラム「ボボたちのパリ」も同時連載中です。>>連載コラム「ボボたちのパリ」

海外に暮らしていた時、大抵の日本食材は入手できた。大都市には日本食品店があったし、中華食品店はどこにもあった。パリやウィーンでは普通のスーパーでも、日本で食べる野菜や果物が買えた。柑橘類は何でもあったし、桃や栗やスイカも季節ごとに出回った。唯一、なかなか見ないなあと感じる果物があった。柿だ。いや、パリには時々「kaki」と名札の付いたイスラエル産の柿が出回っていた。が、どこか日本で食べる柿と違うと感じていた。

先日、八ヶ岳のふもとの山梨県の知人宅を訪れ、私が探していた「柿のある風景」に出会った気がした。刈り取られた畑が広がる、晩秋のひんやりした空気の中、人家のそばには必ず柿の木があり、遠くから見ると真っ赤に見える柿の実がたわわになっていた。丸みを帯びた甘柿も多いが、先の尖った渋柿も多い。田舎の農家の庭先の渋柿の木のある風景は、私には非常に日本的なものに映る。さびを体現しているようだ。

そういえば、ヨーロッパには渋柿はなかった。いや、日本でも東京のスーパーでは渋柿は売っていない。そう思って山梨で大きな渋柿をいくつか買ってきた。東京のマンションのベランダに、ひもでつるして1週間干した。皮をむいた直後はあれほど渋かった渋柿が、太陽を浴びるとなぜかものすごく甘くなる。これがうまい。

そうだ。海外になかったのはこれだ。渋柿を干して作った干柿だ。農家の庭先の柿の木の風景と、ベランダで甘くなった干柿。これが私の求めていた日本の風景と味だった。




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