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コラム「Mainichi Daily News編集長の目」第2回

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Mainichi Daily News編集長の目

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第2回:2009.7.1  新人選考

ナバ 高田容冶氏

英文毎日編集部長、毎日デイリーニューズ
編集長

福井 聡 (ふくい さとし)

1954年名古屋市生まれ。80年毎日新聞入社。甲府支局、東京社会部、外信部、90-93年アフリカ特派員ハラレ支局長、93-95年同ヨハネスブルク支局長、99-03年ウィーン支局長、03-05年外信部副部長、05-09年パリ支局長、09年4月から現職。著作 『アフリカの底流を読む』(ちくま新書)、『南アフリカ 白人帝国の終焉』(第三書館)。
パリ支局長時代の経験をもとにフランス社会の抱える問題について書かれたコラム「ボボたちのパリ」も同時連載中です。>>連載コラム「ボボたちのパリ」

派遣翻訳者のAさんが辞め、Bさんが来ることとなった。それだけのことだが、Bさんを選ぶまでの道のりはラクではなかった。

翻訳者を募集すると、計10人の応募者が次々と現れた。いずれも頭脳明晰、経験豊富。英語力の代表的な指標、TOEIC®TEST はすべてが950点以上。どうして他に職がないのか、と思わず首を傾げてしまうほど立派な履歴書の持ち主ばかりだった。

ところが、20分の小テストを実施してみると、英語の文章がなかなか出て来ない。「ソマリア沖に自衛隊を派兵する法案が衆院を通過した」というごく普通の政治記事を、それなりの英文に訳せたのは10人中4人ほどで、量的に不十分な上、いわゆる「こなれた」英文ニュースの表現となっていたのはほんのわずかだった。

と書いたが、実は編集長の私は「こなれた」英文ニュースの書き方を良く知らない。特派員時代にイヤというほど英文ニュースは読み、会見申請や連絡でゴマンと英語でメールを書き、取材の会話で困ることはなかった。しかし、私が欲しかったのは事実と周辺情報で、英語の表現など気にかけなかった。また、後天的に得た英語力は硬い。日本語でも文法的に正しい文と、日常で使う「こなれた」言い回しとは微妙に違う。

MDNでは翻訳者が日本語の記事を英訳した後、編集長が大筋での内容チェックをした後、英語ネイティブがリバイス(修正したり、よりよい表現に変えたり加えたりする)し、最後に別の部員とデスクが再チェックして出稿する。

小テストの翻訳結果を見て、私は短くて「これじゃダメだ」と思ってもこの道20年のCリバイサーは「基本ができている」といい、逆に「これなら…」と思っても「ぜんぜんダメ」となかなか首を縦にふらない。必要なのはまず、日本語の記事を把握しているかどうか、そして英語の記事らしい表現で書けるかどうかで、TOEIC®TEST の点は高いにこしたことはないが、基本的に関係ないそうだ。

10人は一斉ではなく、派遣会社ごとに1人ずつやって来る。小テストのための部屋を予約し、パソコンと硬派(政治経済)と軟派(社会)1題ずつ問題を用意し、終わり次第印字した回答をデスク3人とリバイサーに配り、採点の上15分ほどの面接に臨む。採用当事者は人事部のため、面接には人事部員も招く。

なかなか決まらぬ様子に業を煮やした人事部から「即戦力を求めがちなネイティブでなく、日本人社員を中心に部長が判断を」と横槍が入った。この指摘はまったく的外れで、最終判断はもちろん私が下すが、判断材料を持っているのは専門家であるリバイサーと3デスクなのだ。

最後に残ったのはBさんとDさんだった。Dさんはハーフで英会話はペラペラだったが、英訳の正確さと日本語力の点から小差だが満場一致でBさんに決まった。
今月からBさんが出勤し始めた。期待にたがわぬ仕事ぶりで、3週間にわたった選考努力が報われた気がした。

と思ったら、今度は姉妹紙「毎日ウイークリー」の編集者1人が辞意を表明。また長い選考が始まった…。

※TOEIC® is a registered trademark of Educational Testing Service.

最近訳した面白そうな記事を以下に紹介します。


 Mainichi Daily News  2009.7.1

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