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コラム「Mainichi Daily News編集長の目」第23回

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第23回 2011.3.28 津波が残したもの

ナバ 高田容冶氏

英文毎日編集部長、毎日デイリーニューズ
編集長

福井 聡 (ふくい さとし)

1954年名古屋市生まれ。80年毎日新聞入社。甲府支局、東京社会部、外信部、90-93年アフリカ特派員ハラレ支局長、93-95年同ヨハネスブルク支局長、99-03年ウィーン支局長、03-05年外信部副部長、05-09年パリ支局長、09年4月から現職。著作 『アフリカの底流を読む』(ちくま新書)、『南アフリカ 白人帝国の終焉』(第三書館)。
パリ支局長時代の経験をもとにフランス社会の抱える問題について書かれたコラム「ボボたちのパリ」も同時連載中です。>>連載コラム「ボボたちのパリ」

大津波と大地震がやって来た。さらに、地震で壊れた原発から放射能が漏れだし、大気汚染、水質汚染、農作物汚染にまで広がり、日本全体が戦後最大の危機を迎えている。

テレビや新聞で紹介される被災者を見ていると、8割近くが老人だ。家族や食料や住居を失い、寒さに打ちひしがれている姿を見るのはつらい。追い打ちをかけるように広がった放射能汚染の恐怖でも、最大の被害者は福島県の原発周辺の人たち。多くは老人たちだ。

経済的な繁栄は多くの場合、都市部でより発展する。中国や米国ほどではないが、日本でも社会の富の多くは東京など都市部に集中。福島や岩手の若者は東京を目指し、残る住民は多くが高齢者となる。今回の被災者の報道は、私たちに改めて、日本の都市と地方の格差を思い起こさせている。経済的にも社会構成的にも。

原発も同じ構図にのっている。日本にある54カ所の原発は例外なく、高齢者の多く住む経済的後発地にある。東京など都市部周辺にないのは、今回のような万一の大事故を避けたかのようだ。地方には事故のリスクを負っても誘致せざるを得ない自治体が少なくない。

福島第一原発の危機が去った後、「では都市部の繁栄を支える電力を今後、何でまかなうのか」の問いが残る。都会の繁栄に慣れ切った私たちは発電効率の大きな原発を棄て、電気の少ない暮らしに耐えられるのだろうか。津波は大きな難題を残していった。




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