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コラム「Mainichi Daily News編集長の目」第3回

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第3回:2009.8.1  ドイツ人インターン

ナバ 高田容冶氏

英文毎日編集部長、毎日デイリーニューズ
編集長

福井 聡 (ふくい さとし)

1954年名古屋市生まれ。80年毎日新聞入社。甲府支局、東京社会部、外信部、90-93年アフリカ特派員ハラレ支局長、93-95年同ヨハネスブルク支局長、99-03年ウィーン支局長、03-05年外信部副部長、05-09年パリ支局長、09年4月から現職。著作 『アフリカの底流を読む』(ちくま新書)、『南アフリカ 白人帝国の終焉』(第三書館)。
パリ支局長時代の経験をもとにフランス社会の抱える問題について書かれたコラム「ボボたちのパリ」も同時連載中です。>>連載コラム「ボボたちのパリ」

■ ドイツ人インターン

毎日デイリーニューズ(MDN)にドイツ人のインターン生がやって来た。ミヒャエル・ベストリッヒ君(23)。ドイツ連邦軍(海軍)幹部候補生で、将来は広報部門を希望。修士論文が「ニュールンベルク裁判と東京裁判の比較」で、上智大学でも学んでおり、英語も日本語も話す。今春私が赴任する前から「開かれたMDN」の方針の下で受け入れが決まっていた。最初の1週間、MDN編集部で翻訳などをしながら、MDNが所属するデジタルメディア局の取材に同行。次の1週間は警視庁、裁判所、防衛省など社会部の各記者クラブ、最後の1週間は政治部の外務省、防衛省クラブでの研修ーーを設定した。

最初の1週間の後、印象を聞くと「日本のイメージは産業界全体が厳格に管理され、粛々と仕事が進められているというものだったが、実際に見てみるとMDNの組織に(軍のような)ランクはなく、スーツも着ていなかった。MDNには日本人とガイジンの両方がいて記事にも双方の見方が反映されていいと思った」と好印象を話した。

メディア局での取材ではレクサス・ハイブリッドの新車発表が興味深かったという。「ドイツ人は一般に車の情報が好きで、私も大好き。レクサスは主に米国向けの高級ハイブリッド車で、4000ドル(約500万円)近くもする。この値段ならもっと強力なエンジンの車は数多くあり、逆に、ハイブリッド車ならプリウスは半額以下で入手でき、実際に売れるかどうか興味深い」と分析した。

早稲田大学で取材した「6つの表情を見せるロボット」については、「ヨーロッパではロボットはあくまで機械で、人間とコミュニケートする対象と考えにくいと受け取られている。ドイツでは老人たちのケアは移民が引き受けるものと考えがちだ」とドイツ人らしい感想をもらした。

さらに「日本は言葉の問題などから、外国人移民受け入れの点で先進国の中で一番消極的だ。一方のヨーロッパは受け入れに自由なように見えるが、移民たちにとって社会融合は宗教や習慣の違いで難しいものとなっている。しかし、ドイツでは老人のケアやリハビリでロボットが人に替わるとは考えられていない。早稲田の研究では、ロボットの表情の豊かさには驚いたが、人を真似ている点にはやや違和感があった。人間の看護師より安く付くのであれば可能性はあるが、現状では非常に高く、ドイツではこうした研究は考えられない」と、移民や高齢化社会での日独比較論を展開した。

防衛省などの印象は「基本的に日本の官庁はヨーロッパから過去に制度を学んでおり、大きな違いはないと感じたが、私はドイツ北部の部隊で働いており、日本全体の司令部である市谷の防衛省での体験は印象的だった」と振り返った。

ミヒャエル君は毎日新聞での研修を楽しんだようだった。が、MDN内部での受け止めは違った。

MDNは限られた人数で効率的に翻訳し、4重5重のチェックを続けている。翻訳者はいずれも専門家で、速度も速く、正確さの確度も高い。ミヒャエル君は英語も日本語も話せたが、だからといって日本語から英語への正確なニュース翻訳がスラスラ出来るわけではない。翻訳を頼むと、その後誰かが直さねばならず、普段より時間と手間がかかった。結局、AP通信の記事をアップロードするなど、翻訳以外の仕事をより多く頼むこととなった。

「ノーモア、インターンシップ!」。部員からはブーイングが相次いだ。それはミヒャエル君への非難ではなく、インターン受け入れを決めた決定への反発だった。彼は希望してたまたま受け入れられた訳で、彼に責任はない。楽しんでくれたなら嬉しい限りだ。

ただ、MDNにとって彼はたぶん「最初で最後のインターン」となりそうだ。


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