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コラム「Mainichi Daily News編集長の目」第1回

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第31回 2011.12.1 「夢の国」ブータン

ナバ 高田容冶氏

英文毎日編集部長、毎日デイリーニューズ
編集長

福井 聡 (ふくい さとし)

1954年名古屋市生まれ。80年毎日新聞入社。甲府支局、東京社会部、外信部、90-93年アフリカ特派員ハラレ支局長、93-95年同ヨハネスブルク支局長、99-03年ウィーン支局長、03-05年外信部副部長、05-09年パリ支局長、09年4月から現職。著作 『アフリカの底流を読む』(ちくま新書)、『南アフリカ 白人帝国の終焉』(第三書館)。
パリ支局長時代の経験をもとにフランス社会の抱える問題について書かれたコラム「ボボたちのパリ」も同時連載中です。>>連載コラム「ボボたちのパリ」

ブータンのワンチュク国王夫妻が来日され、日本中が歓迎ムードに包まれ、国民総生産(GDP)ならぬ国民総幸福(GNH)が話題となった。国王夫妻は立派な方でユーモアもあり、日本の皇太子夫妻がかすんで見えたが、「ブータンが世界一幸福な国」といわれると首を傾げてしまう。

そもそも幸福とは主観的な感情であって、客観的な指標にできるのだろうか?と、ボンヤリ思っていたら、在京のブータン人という読者からメールが届いた。「ブータン人の5〜6割が文盲で、特に田舎に調査する役人が来て『あなたは幸福ですか?』と問われれば、大半の人が『はい』と答えてしまう。人口70万人のうち10万人以上が難民で、この比率はかなり高く、社会に軋轢がないわけはない…」。この読者は難民問題について詳しく触れていないが、大国・中国とインドに挟まれ、さらに両大国の覇権に揺れるネパールも近く、容易ならざる位置にあり、国王の日本への思い入れも痛いほど推察できる。ただ、彼が言っているのは「GNHばかり誇張するのでなく、ブータンのいい面も悪い面も両方見て欲しい」というものだった。

日本がユーラシア大陸の東端に位置する島国だからか、日本人は他国に夢を見ることが多い。高度成長期までは英米仏独など先進国に夢見るのが典型的で、バブル以降は途上国にも広がった。私も初めて移り住む前、アフリカに夢を見ていた。現地に行ってから実情を知り、少しずつ補正して行った。その後住んだウィーンやパリは、白紙で臨む姿勢が身に付いていた。遠い外国に夢を見る気持ちも分かるが、一方的に仰ぎ見るのは慎みたい。なぜなら、その反動が必ずどこかに出るからだ。あの読者の言うように、いい面も悪い面も、自然体で接したいものだ。

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