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コラム「Mainichi Daily News編集長の目」第33回

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第33回 2012.2.1 ゴリラの生態

ナバ 高田容冶氏

英文毎日編集部長、毎日デイリーニューズ
編集長

福井 聡 (ふくい さとし)

1954年名古屋市生まれ。80年毎日新聞入社。甲府支局、東京社会部、外信部、90-93年アフリカ特派員ハラレ支局長、93-95年同ヨハネスブルク支局長、99-03年ウィーン支局長、03-05年外信部副部長、05-09年パリ支局長、09年4月から現職。著作 『アフリカの底流を読む』(ちくま新書)、『南アフリカ 白人帝国の終焉』(第三書館)。
パリ支局長時代の経験をもとにフランス社会の抱える問題について書かれたコラム「ボボたちのパリ」も同時連載中です。>>連載コラム「ボボたちのパリ」

ルワンダの山中に生息するマウンテンゴリラ(福井撮影)ボンヤリとテレビを見ていたら、アフリカでゴリラを追うドキュメンタリーをやっていた。山極寿一・京大霊長類研究所教授が30年以上続けている研究だ。私はアフリカ駐在時、ルワンダでゴリラ・ツアーに参加し、巨大なシルバー・バック(銀色の背中=オス)の横で平然を装って座った経験があり(もちろん内心はビクビクだった)、画面に引かれた。

ガボンなどアフリカ中西部の熱帯雨林で木々を渡り歩いて生息する「西ローランドゴリラ」と、大地溝帯の隆起を機に分派したコンゴ東部に住む「東ローランドゴリラ」とルワンダ山間部に住む「マウンテンゴリラ」の違いなど、生態は良く分かった。番組は「西ローランドゴリラ」の1家族と、闘争で片腕をなくしたオスゴリラに焦点を当て、東日本大震災後の日本社会をダブらせたかったのか、「家族の絆」をテーマにしており、やや類型的な印象が残った。


ルワンダの山中に生息するマウンテンゴリラ(福井撮影)私がふと感じたのは、ゴリラの生態を30年研究すると、「で、何が分かるの?」だった。日常の行動や家族関係、人間社会との類似性などが分かるとは思う。しかし、科学や医学の研究からは病いの治癒や日常の暮らしを向上させる具体的成果が目に見えるようになるが、ゴリラの生態からは何が得られるのだろうか。

山極教授のHPなどを見ると、「人間の五感やコミュニケーション、言葉などが、どのように進化してきたのかを探っている」そうだ。そのテーマなら確かに30年かかるだろうし、それでもはっきりとは分からないだろう。ただ、答えの分からないテーマを追って何十年もジャングルをさ迷い続ける人は、きっと幸せだろうなと思う。多くの人々が金銭や技術を追う中で、成果がすぐ目に見えない研究を追う人たちこそ、社会を豊かにしてくれるだろう。



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