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コラム「Mainichi Daily News編集長の目」第35回

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第35回 2012.4.1 老舗旅館の再生

ナバ 高田容冶氏

英文毎日編集部長、毎日デイリーニューズ
編集長

福井 聡 (ふくい さとし)

1954年名古屋市生まれ。80年毎日新聞入社。甲府支局、東京社会部、外信部、90-93年アフリカ特派員ハラレ支局長、93-95年同ヨハネスブルク支局長、99-03年ウィーン支局長、03-05年外信部副部長、05-09年パリ支局長、09年4月から現職。著作 『アフリカの底流を読む』(ちくま新書)、『南アフリカ 白人帝国の終焉』(第三書館)。
パリ支局長時代の経験をもとにフランス社会の抱える問題について書かれたコラム「ボボたちのパリ」も同時連載中です。>>連載コラム「ボボたちのパリ」

施設が老朽化した旅館やホテルをどう再生させるか。その答えの1つが「伊東園ホテル」だ。バイキング形式の朝夕2食付きで1泊1万円以下、土日も均一料金で、伝統的な温泉地・熱海や伊東などで加盟ホテルが急増している。

実態はどんなものかと先日利用してみた。電話を入れると、春休み期間中だったためか、まず予約がなかなか取れない。3軒ほど巡ってようやく確保できたが、かなり人気のようだ。勇んで向かったA市のB館。部屋は古いがかつての老舗の名残りは感じられ、温泉も古いが趣はあった。夕食のブビュッフェにはびっくり。開始と同時に宿泊客の列が殺到し、いくつかの皿はあっという間に空となった。やがて余裕が生まれたが、「なくなるのでは」との、人間の自己中心理と競争原理の原点を改めて見せつけられる思いだった。

食事はお世辞にも誉めようがないが、2食温泉付きでこの値段は、確かに安い。温泉旅館が高級リゾートと伊東園に2極分化するという説はうなずける。ただ、サービスが不満だからといって伊東園を批判するばかりでは解決しない事態がいくつかある。熱海や伊東の温泉旅館は高度成長期に団体客主体で急成長し、その後、個人旅行・海外旅行が増えると伴に衰退の一途をたどる。同時に施設は老朽化し、倒産の危機に至る老舗が絶えない。古い施設でも倒産せずに事業を続けられる形態の1つが、伊東園なのだ。年老いてくると若者とは異なる生き方を模索せざるを得ない。旅館の歩みも人生と同じか…。



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