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コラム「Mainichi Daily News編集長の目」第7回

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Mainichi Daily News編集長の目

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第7回 2009.12.1 加藤和彦さんの死

ナバ 高田容冶氏

英文毎日編集部長、毎日デイリーニューズ
編集長

福井 聡 (ふくい さとし)

1954年名古屋市生まれ。80年毎日新聞入社。甲府支局、東京社会部、外信部、90-93年アフリカ特派員ハラレ支局長、93-95年同ヨハネスブルク支局長、99-03年ウィーン支局長、03-05年外信部副部長、05-09年パリ支局長、09年4月から現職。著作 『アフリカの底流を読む』(ちくま新書)、『南アフリカ 白人帝国の終焉』(第三書館)。
パリ支局長時代の経験をもとにフランス社会の抱える問題について書かれたコラム「ボボたちのパリ」も同時連載中です。>>連載コラム「ボボたちのパリ」

最初は「細かなことの繰り返し」と感じていた。しかし、ある日、彼女が熱烈なプロレスファンであることが分かり、詳しく読むようになった。毎日デイリーニュースの「パースペクティブ」(社説、解説、コラムから1日1本選ぶ)で毎週末に紹介している、精神科医、香山リカさんの「ココロの万華鏡」(英題"Kaleidoscope of the Heart")というコラムだ。微妙なココロの揺れに踏み込む専門家とパワーを炸裂させる格闘技の対比に、幅の広さを感じたからだった。誰にもココロの揺れはある、揺れとどう向きあうかだ、の視点は見事だと思う。

10月17日に音楽家の加藤和彦さんが自殺したとの衝撃的なニュースを聞いた時、香山さんがきっと加藤さんのココロの振幅に踏み込み、理由を解き明かしてくれるだろうと感じた。彼女がかつて、北山修さんと会い、北山さんを敬愛してやまないとの内容の一文を書いていたからだ。北山さんは現在は九州大教授の精神科医だが、加藤さんとはザ・フォーク・クルセダーズの創設メンバー同士の仲だ。読者としては当然、北山さんを通じての加藤さんの死の背景への、精神科医的な解説が待ち望まれた。

2週間ほどして予想通り、そのコラムが届いた。「原因はうつ病か」、「音楽でやることがなくなった(遺書から)からか」ーーと分析し、「なぜ北山さんに診てもらわなかったのか」と続く。だが、率直に言って、コラムを読んでも原因は分からなかった。そりゃあそうだ。生身の患者を精神分析しても悩みの原因は容易に明示されるものではない。まして、亡くなった人の精神を推測で分析して答えが出るものではない。北山さんに診てもらわなかった理由も「医師と患者の心理的距離が近すぎるのは治療にマイナス」だからだそうだ。

人のココロの奥をのぞくのは難しく、答えなど滅多に見つからない。だから精神科医の仕事の意味があり、コラムのネタも尽きることがないのだろう。2年7カ月逃走した末逮捕された市橋達也容疑者の逃走心理につても、出るかなと思っていたら出た。「逃走は『生きる実感」か。これを読んでも彼の逃走心理は分からない。でもつい読んでしまう。このコラムはそこがスゴイ。


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