グローバルキャリア塾 連載コラム

留学体験のimpact (第3回)

第三回:コミュニティカレッジでの体験と出会いの妙(後編)

公益財団法人 民際センター

高橋あつ子

アメリカ留学中に目の当たりにした市民運動やボランティア活動に共鳴。帰国後、外資系企業の広報等に携わる一方で、人種差別反対運動や人権擁護、環境保護運動などに関わり、ついには国際協力NGO(民際センター)に転職

民際センター

(2007年10月1日掲載)

コミュニティカレッジの2年間で特に印象に残っている2人目の教授Shirleyは、パワフルかつ聡明で、正義感の強い女性教師だった。彼女には驚かされ、刺激を受けた。そして多くを学び、お世話になった。

Shirleyが教える複数のクラスを履修した。多くは英米文学関連のクラスだが、ユニークで最もインパクトがあったのは、”Cinema5: a course on film and society in the 1960’s”という課程だった。60年代のアメリカ社会の価値観が映画にどのように反映されているかを学ぶクラスだったが、映画の中で俳優たちが話すSlangでいっぱいのセリフを100%理解できるわけがない。50%もわかっていなかったと思う。理解できなかった言葉や言い回しや筋書きなどを必死に記録して、私はShirleyのオフィスにクラスの後毎回通った。彼女は実に忍耐強く、私が浴びせる質問に答えてくれた。

ある時、映画の題名は忘れてしまったが、「この映画では、黒の衣類をまとった人物が“善”、白は“悪”として象徴的に描かれているようだったが、通常、白は善、黒は悪として描かれることが多いのでは?」と質問したら、待ってましたとばかり、「A good question, Atsuko! 考えてもみなさい。“Black People”(現在はAfrican Americanと表現されることが多い)は、“黒”は悪の象徴だと言われ続けてきたんです。彼らの屈辱的な体験や気持ちを想像してみてごらんなさい。60年代は、BLACK IS BEAUTIFUL AND WONDERFUL! と言われる時代になったんです! 60年代は価値観の変化が起きた時代です!」とShirleyは、熱く、力強く語った。ちなみに、Shirleyは欧米系“白人”だ。だからこそ私は驚き、感激した。地域や人によっては人種差別発言が恥ずかしげもなく行なわれていた米国で、“a white person”が “black people”の苦難と屈辱の体験に強く感情移入し、正義を語る姿は忘れられない。

そして、Shirleyは、勉学で結果を出している私に、更に深く学ぶために州立大学へtransferすることを強く勧めた。推薦状も書くと申し出てくれた。実際受け取った推薦状は、ありきたりの文章ではなく、実にユニークで、心がこもり(私にとって)、時間をかけた(と思われるが英語教師なのでもしかしたら、短時間で書いた可能性もある)ものだった。もちろん、推薦状は“褒めちぎる”(なくても探して)のが基本だが、それでも、その褒めちぎり方の表現が、さすが英語の教授だと思う。印象深い箇所を、皆さんと共有したい。

“ATSUKO TAKAHASHI is one of those very special and all too rare students who make teaching the rewarding profession it is(注:当時はShirleyの影響もあり英語教師という職業に関心があった). Sadly, her type student is, it would appear, an endangered species(注:この表現って人間にも使うんだと当時驚いた記憶がある). This lovely young woman is motivated beyond description and beyond compare, yet comes equipped with the abilities and skills to make her dreams and aspirations turn into realities…. This fine student will finish everything she begins…. This dear woman is a literal case of WATCH MY DUST! (意味を知りたい人はネット検索で) ….

ちなみに、Shirleyからの推薦状もあり(勿論コミュニィティカレッジ時代の成績も評価され)、私はめでたく州立大学への転入を認められた!

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