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コラム「留学体験のimpact」第5回

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第五回:the Whole Person、南アフリカ人留学生との出会い

毎日エデュケーション 高橋あつ子

株式会社 毎日エデュケーション
広報・マーケティング担当 

高橋あつ子

アメリカ留学中に目の当たりにした市民運動やボランティア活動に共鳴。帰国後、外資系企業の広報等に携わる一方で、人種差別反対運動や人権擁護、環境保護運動などに関わり、ついには国際協力NGO(一般財団法人 民際センター)に転職。
<注> コラム寄稿時は、同団体勤務でしたが、2009年2月からは(株)毎日エデュケーションに転職。

米国留学3年目にコミュニティカレッジから州立大学に転入したが、先ずキャンパスの広さ、学部数と学生数の多さには驚いた。そして、英語を母国語としない留学生が、引き続き英語を専攻する厳しさも実感した(日本にいる留学生が国文学を専攻するようなもの)。こういった留学生がよりレベルの高い英語力を身につけるため、大学には、留学生用だったと記憶しているが、実にさまざまな英語のクラスがあった。

複数の英文学のクラスを受講して、幾度となく学び印象に強く残っている言葉に、”the whole person”と“a balanced person”があり、2つとも似たような意味だと記憶している。“全体的にバランスが取れている人”というような意味だが、勿論、文脈により意味は違ってくる場合がある。私が当時共感したのは、「自分自身の仕事や家庭だけ良ければいいという利己的な人であってはならない。他人やコミュニティや他国の問題にも配慮や関心を持ち、問題解決のために自らも行動を起こすことが重要である。そういったことができる人は全体的にバランスがとれた人間だ」というようなニュアンスの文章(私の理解)だったと記憶している。

そんな頃、英文学のクラスで出会ったのが南アフリカからの留学生テンベカだった。彼女は米国の奨学金を得て大学で勉強している聡明な女性だった。当時、南アフリカは、国際連合に「人類に対する犯罪」とまで言われたアパルトヘイト(人種隔離)政策をとっていて、私はテンベカに実情を聞いてみた。驚いたことに、彼女の父親もアパルトヘイト体制の中で文字通り“殺された”一人だった。発車したばかりの列車に飛び乗った車輌がたまたま「白人専用」だったため、テンべカの父親はすぐに白人たちに動く列車から突き落とされ、重傷を負った。やがて救急車は到着したが、倒れているのが黒人とわかると、彼を運ばずに去っていった。そして、テンベカの父は治療を受けることなく亡くなった。当時を思い出し涙を流すテンベカの姿を忘れることができない。身近な友人に起こったこの信じがたい非人間的な行為に対する私の激しい憤りは“ずっと”続いた。

同じ頃、私とテンベカが通う大学の学生たちの一部は、同大学の南アフリカへの投資をやめさせるため、すなわち、南ア政府のアパルトヘイト廃止を求めて、キャンパス内で抗議活動を頻繁に行なっていた。一方、一般市民たちも同様に南ア政府と取引のある銀行に「投資をやめないと預金を引き出すぞ」という運動を展開していた。いわば庶民による南ア政府への経済制裁活動だ。こういった人びとの正義感と行動力を間近で見て、私は身も心も揺さぶられた。

帰国後、就職探しと同時に反アパルトヘイト運動に加わった。南アと取引のある日本企業の商品のボイコット運動や街頭デモ、南アから来日した反アパルトヘイト活動家の通訳など、積極的に関わった。就職してからも、反アパルトヘイト運動やアムネスティなどの市民運動を続け、環境保護運動にも参加するようになり、さらに途上国支援への寄付も開始した。

キャリアを積むことと、the whole personでいることの“両立”を心がけてきたおかげで、“天職”と思える現在の仕事、「国際協力NGOの広報」に導かれたと思う。留学体験があったからこそ、今の自分があると感謝している。



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