グローバルキャリア塾 連載コラム

もっと知りたい!国際機関での仕事 (第4回)

第4回:国連工業開発機関(UNIDO)

外務省 国際機関人事センター

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(2017年9月15日掲載)

「いろいろな国際機関に目を向けてみよう!」の第4回目として、今回は、国連工業開発機関(UNIDO)で勤務されている福山由希子(ふくやま・ゆきこ)JPOに登場いただき、UNIDOについてお話してもらいます。

福山由希子さん

ご紹介にあずかりました、UNIDOウィーン本部でJPOをしています福山由希子(ふくやま・ゆきこ)です。今回は、UNIDOの歴史や役割、また仕事内容についてお話ししたいと思います。

 
■UNIDOとは?

UNIDOは国連専門機関の一つで、オーストリア・ウィーンに本部があります。開発途上国や新興国が持続的な経済発展を成し遂げられるよう、産業化に向けたさまざまな支援を行っています。主な活動は、技術の提供や人材の育成などの技術協力ですが、各国政府に対する工業政策の策定支援やグローバルな産業基準作り、また、特定の産業分野に特化した国際会議なども開催しています。途上国において、産業化=公害といった過去の過ちを繰り返さないようクリーンな産業開発が必須となっており、UNIDOの活動においても、エネルギーや環境分野の活動の比重が高まっています。

 
■UNIDOの歴史・役割

UNIDOは1966年に設立され、昨年創設50周年を迎えました。産業発展に向けた支援は時代とともに変化しており、当初は農産物加工が主要な支援分野でしたが、途上国において他国との輸出入が活発になってくると貿易に関する支援が重要性が増し、最近では、再生可能エネルギーや省エネといった環境に優しい技術促進の活動が主流になっています。UNIDO東京投資・技術移転促進事務所でも、日本企業が保有するクリーンな環境・エネルギー技術の途上国への移転が重要な活動となっています。
途上国開発において、産業化は重要な柱の一つであるとの認識が高まっており、2016年以降の目標として掲げられた持続可能な開発目標(SDGs)の中の、SDG9(産業と技術革新の基盤をつくろう)はUNIDOの活動と合致しています。昨年ケニアで開催された第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)では産業化が主要テーマとなり、アフリカの産業開発に向けたUNIDOの役割に対して期待が高まっています。

 
■UNIDOでの仕事と言語

UNIDOの全職員数は700名ほどです。途上国の産業開発支援がUNIDOの仕事ですので活動の現場は途上国なのですが、UNIDO現地事務所にいる職員は全体の2割ほどで、大部分の職員はウィーン本部に在籍して出張ベースで途上国への技術支援を実施・監理しています。UNIDO本部があるオーストリアはドイツ語圏ですが、UNIDOを含め複数の国連関連ビルが入居するVienna International Centerの敷地内に入れば、コミュニケーションは完全に英語です。もちろん、スーパーやレストランでのやり取りに困らないよう、ドイツ語を理解できれば生活はしやすいですが、UNIDOでの仕事でドイツ語は全く必要ありません。他の国連公用語についても、フランス語等ができれば強みになると思いますが、日本人の方がUNIDOへの就職を目指す場合、何よりも英語力の研鑽に尽きると思います。一にも二にも、まずは英語力です。UNIDO職員は、秘書の多くはオーストリア人ですし、先進国・途上国関係なく英語を母国語としないあらゆる国籍の職員が働いていますが、みな共通言語である英語はネイティブ並みです。未だに、「日本人は真面目で仕事もよくできるが、英語が下手」という声が聞かれ、継続的な英語力の向上が重要だと感じます。

 
■UNIDOで働く日本人職員

2017年3月時点、UNIDOで正規職員として働く日本人職員は12名です。内JPO経験者は7名で半数以上がJPOを経験してUNIDO職員となっていることから、UNIDOへの就職においてJPOの重要性は高いと言えます。UNIDOで働く日本人職員は、JICAやJETRO、UNVなどで産業開発に関連する職歴や、民間企業での職歴を持っている人など、様々です。UNIDOは途上国のビジネス振興支援も行っているので、民間企業での勤務経験を活かして活躍できる国際機関の一つと言えますし、実際、MBA取得者でUNIDO職員になる人も多いです。ビジネス分野の知識・経験を活かせることに加えて、最近、環境・エネルギー分野の支援活動が重要性を増していることから、理学・工学等の理系のバックグランドを持つ人も大歓迎です。理系の専門性を持つ日本人の方がUNIDOを目指すケースはあまり多くないので、関心を持ってもらえると非常に嬉しいです。

 
■最後に

UNIDOはウィーンに本部がある珍しい国際機関ですが、ウィーンという街は、芸術・音楽の都として知られており、ウィーンの森へのハイキングやスキーなど冬のスポーツでも有名です。生活・文化・娯楽の面で非常に快適に過ごせます。世界で最も住みやすい都市という調査で一位になったこともしばしばあり、UNIDO職員もウィーンでの生活を満喫しているようです。UNIDOではワーク・ライフ・バランスも配慮されており、また女性の活躍も推進され、日本と比べて働きやすい労働環境・生活環境と言えます。皆さんも、ウィーンで一緒に働きませんか?

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