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コラム「ニッポン人のさとり方」第5回

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第5回  楽をすることと、楽しむことの違い

松岡 祐紀さん

株式会社ワンズワード
代表取締役、写真家

松岡 祐紀

19歳でスコットランドのエディンバラに留学。NYにてスタジオアシスタントを経験した後、ロンドンに在住。帰国後はフリーランス・フォトグラファーとして活躍。2009年にノーベル平和賞受賞者ムハマド・ユヌス氏の「ソーシャルビジネス」という理念に感銘を受け、株式会社ワンズワードを起業。レッスンの質の高さを売りにしたオンライン英会話スクール「ワンズワードオンライン」を立ち上げる。

2011年よりブエノスアイレスへ移住、さらに第三の故郷としてメキシコシティに居住。2014年3月に中南米・南米の英語学習者のためにスペイン語版ポルトガル語版英語版のオンライン英会話スクールを開設。現在は、ブエノスアイレス、メキシコシティ、日本を行き来して、ソーシャルビジネスの理念の普及と事業拡大を目指している。 >>詳しいプロフィールを読む

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願わくは、楽をしたい。これはあなたがなまけものだからという訳ではなく、脳がなるべく楽をするようにプログラミングされているから仕方がない所作なのだ。諦めよう。

では、ずっと楽をしてばかりいると、どうなるか?

大抵の場合、人生うまくいかなくなる。収入は途絶え、恋人や結婚相手から三下り半を突きつけられ、それでもぼーとビールを飲みながら公園で日向ぼっこ。

立派なダメ人間の完成だ。それでも生きなければならない。しかし、そこまで自分の人生を落としてしまうと、這い上がるのは並大抵の努力では叶わない。人生は万有引力の法則に従い、落ちるのは容易だが、浮き上がるのはちょっとした奇跡が必要だ。

なるべく楽をしたいという脳の欲求に応えながら、それでもなおかつそこそこの生活を目指したほうが、人生全体では楽を出来る。これはひとつの自明の理だが、楽をすることが人生の目的だと言う人はあまり会ったことがない。

ただ、「人生を楽しみたい」という人には会ったことがある。ではこの楽をしたいということと、楽しみたいということにはどのような差があるのだろうか。

楽をするということは、当然受動的な行為であり、何も自らが率先して行うことなどない。人生を謳歌する、楽しむということの前提となっているものは「自分自身を楽しませることを知っている、どのようにすれば自分が楽しく感じるか自覚している」ということが前提となる。

楽をすることが人生を楽しく送ることに繋がることはないが、人生を楽しむことは楽をすることには繋がる。脳の欲求に従いながら、なおかつ自分自身を楽しませることが出来る、まさに一石二鳥の素晴らしい方法なのだ。

人生を楽しむこと=楽をすることと勘違いしている人が多い。先に挙げた「人生を楽しみたい」と言っている人たちもよくよく話を聞いていると、ただ単に何かしら突拍子もないことで一発当てて、大金持ちになって余生を安楽に暮らしたいと内心思っている人がほとんどだ。

人生を楽しむということは、何度も言うようだが、自分自身は何者かという自己認識が不可欠であり、その認識に到るまでには結構な時間がかかる。欲望、野望、勘違い、他者からの批判あるいは賞賛などで自己を誤り、本当はやりたくもない仕事に一生懸命ということは人生ではよく起こる。

人は他人のことは客観的に理解し、彼らが何者か理解することは出来るが、こと自分自身のことになると、多くの特性は無視され軽視される。それに自分自身が本当にやりたことと、出来ることが乖離することはままある。

人生を楽しむということは「奇跡的にも自分自身が出来ることと、やりたいことがマッチし、なおかつそれにやりがいを感じている」ということだ。

そして、これもまた残念な話ではあるが、多くの人は何がやりたいかさえ見つけられない。では、そのような人たちはどうすればいいか?

そのような人たちは、他人を見てばかりいないで、自分自身を研究対象とし、ひたすら自分自身がまず出来ること、得意とすることを見つけるしかない。まずは出来ることを見つけ、それにやりがいを感じればラッキーだが、感じなくてもしばらく続ければ、なんとなくやりがいを感じるかもしれない。

あなたが今いる場所で何も楽しいことがなく、だから海外に行くという結論に至ったのであれば、ぜひ海外に行くべきだ。きっともっと楽しくない人生があなたを待ち受けているだろう。言葉も通じず、友だちも一人もいない、頼る人など誰もいない環境に飛び込んでいくのだから当然の話だ。

そして、あなたは「国籍がたまたま一緒だっただけで、日本にいるときであれば、出来れば関わり合いになりたくない人たち」と形だけの友人関係を築き、なんとなく海外生活を過ごし、たいした語学力を身につけず帰国してくる。

楽をすることと、人生を楽しむことを履き違えると結果はこうなる。今、いる場所が楽しくないことはままあることだし、仕事を変えたり、あるいは住む国を変えたりすることは劇的な変化を及ぼす可能性がある非常に有効な方法だ。

だが、その移動した場所では今まで以上の労力が求められ、さらなる努力が要求されることを念頭に置いておかねば、場所を変えた意味はない。

「人生を楽しむ」ということはかくも厳しく、辛いことなのだ。だから今の人生が楽しくないからと言って悲観しないように。そのうち慣れるし、慣れなかったら自分にもっと負荷をかけることを理解した上で、場所を変えればいい。他人に流されない自信があれば、今よりはもっと楽しく人生を送れるはずだ。



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  Brasil  (Photo:Yuki Matsuoka)




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  2. ステップ2: さとるということ
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