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コラム「ブータンの空の下から」第3回

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ブータンの空の下から

> > 片山理絵さん

第3回:メディカルハブとしてのバンコク

片山理絵

ハワイ大学東アジア言語・文学部修士課程卒。在学中にブータン王国出身の夫と出会い、一年半の遠距離恋愛を得て、2001年4月に結婚。知り合った時は、ブータン王国という国が存在する事すら知らなかったが、12年の在ブ生活を得て、ブータンという国の歴史と文化の奥深さを知り、次第にはまりつつある。現在3人の子供を育てながら、夫の家族が経営するペルキルスクールの経営に携わっている。

■ ペルキルスクール   http://www.pelkhil.edu.bt
2010年に開校した中高一貫の私立学校。2013年からプレ・プライマリーのクラスもオープン。現在は450名の生徒が在校する。

毎月1日にコラムを更新する予定でしたが、今回は半月ほど遅れてしまいました。と言いますのも、3月上旬に「眼がおかしい」と気付き、次の日に病院に行くと「網膜剥離」が発覚し、「ブータンでは治療が出来ないので、直ぐに海外で手術をして欲しい」とお医者様から言われ、直ぐにタイ王国の首都バンコクに飛びました。着いた次の日に手術をする事になり、そのまま3月末までバンコクに滞在する結果となりました。何もかもが突然の事で、全く予想だにしていなかったので、戸惑う事もありましたが、取り敢えず今ブータンに無事に戻る事が出来てホッとしております。そして今回は良い機会ですので、私の知る限りのバンコクの医療事情について少し書いてみたいと思います。

皆さんはタイの医療事情についてどういった印象をお持ちですか?技術的に日本より遅れている、と多くの方は思われるかも知れませんが、実際は日本より医療規制が少ない為、新しい技術を施行する体制が整っている環境にあります。それは「タイを世界のメディカルハブにしたい」と政府が国を挙げて推進しているからです。

他国から患者さんがわざわざタイに来て貰うためにはどうすれば良いか?それは医療技術の向上と看護サービスを充実させる事にある、という結論をタイ政府は認識し、政府を挙げて後押しを進めてきました。ここ10年でアメリカやイギリス等の英語圏の医学学校へ進学するタイの医大生が飛躍的に増えたのは、海外で身に付けた知識や医療資格を評価される基盤が国内に出来たからです。医者だけではなく、看護士も多言語が出来るかどうか等、プラスアルファーのスキルが評価される状況となってきました。

国内の患者だけではなく海外からの患者も呼び込みたい病院は、各言語が出来る医療知識を備えた通訳を配置しております。バンコクの私立のメジャーな病院等は人口70万人の小さなブータン王国にまで売り込みを始め、通訳とマーケティングを担当としたブータン人のスタッフまで病院に常勤させる体制をとり始めました。私が今回お世話になった眼科専門の病院ではアラブ諸国からの患者も多く、アラビア語専門の通訳もおりました。

1999年にブータンに訪問するついでに初めてタイに立ち寄り、タイ人の友達が案内してくれたタイと今のタイを比べると、この10数年で飛躍的な違いがあちこちに見受けられます。観光・医療を外貨獲得の手段と明確に打ち出しているタイ王国は、ホテルでも病院でも英語が話せる人が目に見えて増えてきました。私が今回泊まっていたホテルも病院から70メートルぐらいのところにありますが、観光客だけではなく、治療を兼ねた長期療養者で毎日満室状態でした。タイ王国は、政治が比較的安定しており、安価に快適に暮らす事が出来る環境が整っている為、外国人にとっても滞在し易い国の一つだと私は今回改めて思いました。

日本の医療業界はどうでしょうか?どうしても私には「政府お抱えの医療体制」というイメージが拭えません。世界トップの医療技術を誇る日本ですが、国内向けサービスしか施されていないのが現状だと思います。中国では日本の医療技術はブランド化されてます。それなのにそれをマーケットとして取り込もうという動きはなかなか日本国内には見受けられません。そろそろ医療をサービスとして海外に売り込み、外貨を得る手段として考えても良い時期なのではないでしょうか。「物作り」と同時に私は様々な分野での「サービス」も日本が提供できる世界トップの売りものだと思います。

ちなみに医療・教育が無料のブータン。ブータン人の場合、今回の私の様に国内で手術が困難な場合、多くの患者さんはインドのコルカタに搬送されます。そして何と手術代は全てブータン政府持ちなのです。恐らくこんな国は世界どこを探しても無いと思います。



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