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コラム「ブータンの空の下から」第5回

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ブータンの空の下から

> > 片山理絵さん

第5回:ブータンの総選挙 その1

片山理絵

ハワイ大学東アジア言語・文学部修士課程卒。在学中にブータン王国出身の夫と出会い、一年半の遠距離恋愛を得て、2001年4月に結婚。知り合った時は、ブータン王国という国が存在する事すら知らなかったが、12年の在ブ生活を得て、ブータンという国の歴史と文化の奥深さを知り、次第にはまりつつある。現在3人の子供を育てながら、夫の家族が経営するペルキルスクールの経営に携わっている。

■ ペルキルスクール   http://www.pelkhil.edu.bt
2010年に開校した中高一貫の私立学校。2013年からプレ・プライマリーのクラスもオープン。現在は450名の生徒が在校する。

ブータンは2007年まで絶対君主制だった。そういう言い方をすると中世のヨーロッパを思い出す人がいるかも知れないが、ブータンは「国民が王を尊敬し、国王が国民レベルまで下がってくる」という世界でも珍しい国であった。義父によると、第三代国王は鍬を持ち、畑を耕していたというのであるから、一般的な常識では考えられない「ブータン独特の常識」がここにはあった。

第3代ブータン国王
▲ブータン「近代化の父」と
呼ばれる第3代国王

第4代ブータン国王
▲自ら民主主義を国民に
与えられた 第4代国王

第5代ブータン国王
▲立憲君主制となったブータンの
大黒柱、第5代国王

現在のブータンは立憲君主制である。これは多くの国にある様な勝ち取った民主主義ではなく、第四代国王がブータンの将来を思って自ら国民に与えたものであった。2005年に国王が「2008年の譲位と総選挙後の立憲君主制移行」を表明すると、その決断に反対したのは何と国民達だった。国民は泣いて「私たちは今のままで幸福です。その尊いお気持ちをどうかお考え直し下さい。」と国王に直訴した。感情的になった国民達に民主主義の必要性と重要性を説くために、国王は自ら全県(20県)を回り、2006年末にその当時皇太子であられた第五代国王に王位を譲り静かに引退されてしまった。その当時、私の周りでも「何故この時期に。。。」と涙を流す人が続出したので、ブータンの国民が国王を尊敬する気持ちはただものではない、と改めて思った。

2008年ブータンの新憲法が公布され、ブータン初の総選挙が執り行われた。国王から与えられた民主主義であったが、「民主主義」と言うものを大半の国民が全く理解できないまま総選挙に進んでしまった感は拭えなかった。

ここで簡単にブータンの政治システムを紹介したい。ブータンの議会は上院(国家評議会)と下院(国民議会)からなる両院性である。上院は各県の地区(Gewog)から選出された候補者達によって最終選挙が行われ、各県から一人選出される。全県20名の議員と国王が自ら任命する有識者5名の計25名で構成される。上院議員はどの政党にも属さず、中立の立場をとる事となっている。一方下院の方は、各政党から47地区それぞれの候補者がノミネートされ、選挙によりその過半数をとった政党が与党となる。


結果から言えば、47地区全ての候補者をそろえる事が出来たのは2党、DPT(ブータン調和党)とPDP(国民民主党)で、その2党だけで選挙が行われ、DPTが47席中45席を獲得するという圧倒的な勝利を収めるという極端な結果となった。ブータンの議員任期は5年間となり、下院では解散選挙も可能だが、野党が2席だけではどうにもならなかった。

そして今年2013年、ブータン二回目の総選挙年となった。2008年に圧倒的な勝利を収めた与党DPTであったが、やはり与えられた民主主義ではあまりその価値を重んじる事が出来なかったせいか、私の意見を言わせてもらえば、与党はこの5年間やり過ぎた感があった。他国に比べてゆっくりとした開発を目指したブータンであったが、与党は今までの遅れを取り戻すかの様に開発を急ぎすぎた。その結果として、国民たちの間で政府に対する不満が高まり、選挙一年前には既存の2党を含む5党が名乗りをあげた。

2008年当時、「世界で最も若い民主主義国家」となったブータンであるが、その憲法にはいろいろとユニークな項目があり、その一つが「国会議員候補となる人は大学卒業の資格が必要」という事である。現在のブータンの識字率は60%にも満たない。その中で人口70万人の小国ブータンの47地区それぞれから5党が大卒の候補者を探すという事は並たいていの事ではない。様々な思いを持ちながら、初の「予備選挙」が今年5月31日に行われた。

さて予備選挙の結果はどうだったのでしょう?来月は選挙に関するブータンらしい様々なエピソードを交えながら、結果を報告します!お楽しみに!



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