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コラム「宮永コンピテント英語塾」第5回

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第五回: M男さんの冒険第2話 「日本人のありがとう」

宮永国子氏

宮永Competent英語塾

宮永國子(みやなが くにこ)


宮永Competent英語塾 塾長、人類学博士。国際基督教大学大学院人類学教授、多摩大学グローバルスタディーズ学部創設学部長を経て、現在ハーバード大学研究員。

M男さんの冒険第2
「日本人のありがとう」

M男さんが米国東海岸ボストンで、苦労している間、いろいろとやり取りをいたしました。その中で、日本人は「ありがとう」はなかなか言わない。どうしてだろうという話になりました。

さっそくM男さんは、ボストンの知り合いに、聞いて廻りました。その結果、意外なことを発見することになりました。とくにドアの開け閉めに, Thank you.と言っても、「相手が答えてくれないからだ」と、M男さんの知り合いの日本人は、口をそろえて言うのだそうです。こちらから有難うと言っても、白人同士や他のアジア人同士なら応答するけれど、日本人には応えないというのです。その理由として皆さんが挙げたのは、「発音が悪い」「人種差別」というのが圧倒的だったそうです。けれどもこの「調査」は、対象の全員がM男さんのボストンでの友人ですから、サンプルとして非常に偏りがあります。しかもボストンに到着して、1ヶ月足らずです。

そこでM男さんは、友人となったばかりのアメリカ人の保険屋に、相談してみました。このひととM男さんは、毎日喫茶店で四方山話をしている仲なのです。友人の意見はこうです。「君は日本人を分析しているんじゃなくて、返事しない人間を、日本人と思ってしまってるんじゃないか」と言うのです。

でも、とM男さんは、考えます。「南アジア人とは骨相や肌が違いますし、中国韓国人とは髪形や服装が違うから良くわかります。それより何より、ほとんどの日本人はその平和そうな面差しで、非常に目立ちます。」これはM男さんの正直な見解です。

アメリカ人の保険屋の友人に反論されて、M男さんは、独自の調査を始めました。いろいろな場所のドアのところで、観察をすることにいたしました。英語科出身のM男さんは習ったことはなかったのですが、Doorway observationというのは、社会学ではひとつの分野です。M男さんは探究心旺盛です。自己流でやりとげたのです。

人の出入りの激しい場所(スーパー、モール、銀行の入り口)で、観察しました。まずはじめに、にこにこしながら相手の目を見て、「あーあー」といってみたのです。すると相手は、Sure.と言ってくれるではありませんか。
面白くなって日本語で、「どうも」と言ってみたら、ナントまたまた、Sure.と応えるではありませんか。M男さんには、大発見でした。

ところが、アメリカ人の保険屋の友人は、冷静に言います。「アメリカ人だって同じことさ。タイミングやフィーリングで、何も言わないことだって多いよ。それに私だってTH−A−N−Qなんていわないよ。大抵Ta−か、Qだけだね。」

英語は論理的な言語だという固定観念に、とらわれていたM男さんには、驚きの意見でした。英語もフィーリングやタイミングの言語なら、自分もそのカルチャーが好きになれそうだと思いました。同じ英語文化、アメリカ文化でも、その部分は若者文化だと思って、いままで敬遠していたのでしたが、それが急に身近に思われてうれしかったのです。

それで知り合ったばかりの日本人留学生に、正直な気持ちを打ち明けてみました。M男さんは、気持ちをいつもだれかと共有したいのです。ところがその学生は、言うのです。「相手の目を見て馬鹿みたいに、アーウーいうくらいなら、何もしないほうがまし」と、まったくそっけないのです。

M男さんは、それから考え込んでしまいました。
はじめのころのカルチャーショックは、こんなふうに、文化の違いの体験を、うまく説明できないことで、自信をなくしてしまうのでつらいのです。そのときには、他の人はみな、きちんとした説明があるかのように感じられて、ますます自信をなくしてしまうのです。
でもM男さんは、勇気を持って試行錯誤を繰り返し、文化としての英語を体得してゆきます。


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