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コラム「文明発展と本当の豊かさ〜『地球最後の楽園』パプアニューギニアに学ぶ」第5回

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グローバルキャリア塾・連載コラム

文明発展と本当の豊かさ〜
「地球最後の楽園」パプアニューギニアに学ぶ

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第5回:楽園にしのび寄る危機


1969年大阪市生まれ。神戸大学経済学部卒業。1995年青年海外協力隊員としてパプアニューギニアに赴任。2000年より現職。日本を始め、世界各国からの旅行者の受け入れ、TV撮影のコーディネートなどを行う。共著に「地球の歩き方―パプアニューギニア―地球の揺りかごを巡る旅」
「パプアニューギニア―日本から見た南太平洋の宝島」
パプアニューギニア人の妻との間に1男1女

地球最後の楽園、賢者が選択した「文明発展とは別の道」を歩いてきたニューギニアにも、近代文明の波が押し寄せてきた。

銃の威力や、病気を治す薬と言うトリックを使って、これまで不自由なく生活してきた人々を西洋文明に屈伏させた。交通手段の未発達だった時代、貴重な通貨として高地で取引されていた貝を金の力で大量に買い取って与える事で、現地人を手なずけた。

貧富の差の無かった社会は一挙に貧者と富めるものを作り出し、裕福な暮らしを夢見て農村から都会に出た若者の多くはそこで思ったような仕事を見つけられず、一所懸命働いても一生、車を買えない、家を買えない、と言う諦めと、今日の食事代も稼げない現実が、多くの若者を犯罪に走らせている。

「僕の両親は文字も読めず、石器時代そのものの生活を送っていた。ところが僕はインターネットで世界とつながってビジネスを行い、僕の兄は外国の航空会社のパイロットとして世界を飛び廻っている」

私の協力隊時代、配属先の事務所で同僚だったマウントハーゲン出身の男性の話はパプアニューギニア社会の急速な構造転換を如実に現わしている。
石器時代から宇宙時代へ、他の国々が何千年もかけて辿ってきた道のりを2〜3世代、たかだか100年足らずでワープしたようなもの。
ソフトランディングなんてとても考えられない、飛行機で言えば「胴体着陸」ものの社会構造変化が起こった訳で、良く考えてみれば歪みが出て当然だ。

だれしもが豊かな暮らしを望んでいる。教育、医療、そして雨や風で壊れない家に、長時間歩かなくとも遠くまで移動できる車。
でも、ここに居ると、「無くても良かったんじゃないか?」と考えてしまう。
無くとも生活出来ていた、少なくとも「無いから不便だ」とか、「持たないから貧しい」とか思わずに生活が出来ていた人々が、20世紀になっても住んでいた国だからこそ、
「文明は本当に人を幸せにしたのか?」と考えずにはいられない。

「楽園」に起こっている危機に対して、インフラの整備や直接財政援助、保健衛生部門への援助など、各国が手を差し伸べている。しかし、援助の本質は自国の会社が資源を採掘する事への「無言の圧力」であったり、「国連の1票」を期待した外交政策の一環に過ぎず、多くの場合、本当に被援助国の人々の為になるのか?という視点が欠けているように思う。

パプアニューギニアに対する最大の援助国、オーストラリアが外交交渉で援助打ち切りをちらつかせた時、ある著名人はこう言った。「これを機会に、援助を全て断ち切って、そこから再スタートすべきだ。それで壊れるものは壊れれば良い。そこから他に頼らない、本当の自分たちの社会を作れば良い。僕たちはそうやって何千年も生きてきたわけだから」

援助を全て断ち切る事は現実的では無いが、この国の人たちが急速な社会変化に対応して、本当の意味で危機を乗り越えていく為には、外からの支援に頼るだけでなく、自分たちで道を切り開いて行くしかないと思う。そうして始めて、「楽園」の本当の姿を取り戻せるのではないだろうか。


子どもたち



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