スマ-トフォン向けサイトへ
サポートセンター

コラム「読み切り![イスタンブール]〜毎日留学ナビ編〜」第5回

トピックス

グローバルキャリア塾・連載コラム

読み切り![イスタンブール]
〜毎日留学ナビ編〜

> > 松井 和花さん

第5回:トルコ人の中へ(4)

松井和花

フリーライター、通訳者、コーディネーター

松井 和花

天理大学外国語学部英米学科卒業後、更に通信教育を経て小学校教員免許を取得、奈良県内の小学校で教鞭をとる。たまたま休暇で訪れたトルコに深く魅せられ、唐突に移住を決意。 ゼロからスタートしたトルコ語学習に始まったサバイバル生活も、今年で17年目突入。現在、イスタンブールにて『執筆で、トルコと日本を繋ぐ』をテーマに、フリーライターとして活動。トルコ人の夫と小学生の息子とのドタバタ3人暮らしの毎日。
■ 読み切り![イスタンブール](ブログ)
■ 読み切り![イスタンブール](Facebook)
■ 『AB-ROAD (エイビーロード)』 トルコ・イスタンブール・グルメの現地ガイドとして情報発信中!

アンカラ
▲トルコ共和国初代大統領アタトゥルクの霊廟より、首都アンカラを望む。

一人暮らしとは言っても、元々日本からスーツケース2つでやってきた私にはこれといった所持品もなく、家具もどこから調達すればいいのか途方にくれていた引っ越し初日。
初めて見る東洋人の珍客に、どこからともなく隣近所が集まって来、

『おまえは日本人か?そうか、ひとりでよくここへ来たね。家具にも不自由しているだろう。うちで使っていないベッドがあるけど、要るか?』

身振り手振りで言葉を交わし、どうやら寝床を調達してくれるらしいのが分かったや否や、すぐに数人のおっちゃん達がエレベーターのないアパートの最上階に住む私の家まで、えっちらおっちらベッドを運び込んでくれました。なんと世話好きで優しい人たちなんだろう…。
一方おばちゃん達は、自分の家から予備のシーツやらなんやらを持参して甲斐甲斐しく私のベッドを整えてくれ、私は枕のみ購入したと記憶しています。

そして初日は暮れ、夜になり、誰も知り合いのいないこの街で、ガランとしたアパートにひとりポツンと取り残された気がして、無性に人恋しい想いで膝を抱えていたら…。

『ちょいとー!そこの日本人の女の子ぉ!聞こえるかーい?』

え?誰かが私を呼んでいる??
急いでドアを開けてベランダに出ると、向いのアパートから、昼間色々と世話を焼いてくれた親娘が笑顔で手を振っています。

『あんた、晩御飯はなにか食べたのかい?まだ何も食べてないんだろう?これをお食べ。いいかい、投げるよ!』

と大声で叫んだ後、向こうのベランダからサンドイッチを放り投げてよこしてくれたのです。
トルコ人の過剰なほどの情に触れた私は涙が出るほど嬉しく、よし、もうちょっとここで頑張ってみよう、そう思わせてくれたのでした。

その後は、毎日のように近所の子ども達がゾロゾロと私のアパートに遊びに来て溜まり場と化し、語学学校に通う私のトルコ語の宿題を手伝ってくれたのでした。結構間違いも多かったんですけれどね。
“ワカアブラ(ワカお姉ちゃん)”と呼んで懐いてくれ、買い物にも一緒に来て荷物を持ってくれたりと、絶えず子ども数人の取り巻きを引き連れての賑やかな毎日でした。

数ヶ月後、うちで空き巣事件が起こって大金が盗まれた時、それまで家族ぐるみでおつきあいをし、色々と面倒を見てくれたアパートの管理人が怪しいと分かってから、怖くなって逃げるようにそのアパートを引き払いましたが、引越しの日に近所の子どもたちが、私と荷物を載せ走り出した軽トラックの後ろから、

『ワカアブラー!ワカアブラー!!』

といつまでも走って追いかけて来た、あの映画のワンシーンのような光景は、今も目に焼き付いて離れません。

=続く=

セリミエ・ジャーミィ
▲ブルガリア・ギリシャと国境を接するエディルネ県に所在するモスク。建築家スィナンの最高傑作で、2011年に世界遺産に指定された。


軍楽隊
▲エディルネの街角で、軍楽隊の行進に出くわす。当時の出で立ちと独特のメロディーに、思わずオスマントルコ時代へタイムスリップ。



Share (facebook)  このコラムをFacebookでシェアする。

  • カウンセリング予約
  • 説明会イベント
  • 資料請求

ページトップに戻る