グローバルキャリア塾 連載コラム

在米カウンセラーのメッセージ「留学は修行!」 (第3回)

第3回:留学を決めたら、「日本の尺度」を捨て「留学バージョン」にする

サクセス・アブロード・カウンセリング
代表

角谷紀誉子

神戸出身、県立神戸高校、武庫川女子大学薬学部、ニューヨーク・ハンターカレッジ・ソーシャルワーク修士課程終了、米国ワシントン州認定臨床ソーシャルワーカー、サクセス・アブロード・カウンセリング代表

サクセス・アブロード・カウンセリング

(2010年3月15日掲載)

英語のストレス、宿題や勉強のストレス、ホストファミリーとのストレスなどは留学中のストレスとしてよく知られているものです。今日は、日本人留学生が気をつけなければならない別のストレスについてお話しましょう。それは、以下のような日本の友達の言葉からくるストレスです。

「有名企業に就職が決まった」
「結婚することになった」
「課長になったよ」
「子供ができた」

日本を出るときは、留学中はキャリアが保留状態になることや、学位の取得に時間がかかることはよくわかっていたのに、留学後、思ったより時間がかかったり、思いがけない遠回りを余儀なくされたりしたとき、このようなニュースを留学生が聞くと、どんな気持ちになるでしょうか。

「自分はここで何をやっているんだ?」
「人より遅れてしまった」
「道を間違えたのではないか」
「自分には人に言えるものは何もない」

というふうに、自分を見失ってしまう留学生は多いのです。

留学するほとんどの人は「人と違うことがしたい」「人生を変えたい」という思いで外国に出るものです。しかし、留学は、簡単なことではありません。日本を出ればいいのでも、留学さえすれば人生が変わるものでもありません。出た後、目標を見失わない強い意志と、努力を続けること、この二つは絶対に必要です。

目標を見失わない強い意志を持ち続けるためには、「日本の尺度」でのモノの考え方を、「留学バージョン尺度」に入れ替える必要があります。まず、第一に、「人生を変える、人と違うことをするため」に留学を考えたわけですから、それには時間がかかることを覚悟することです。「これくらいの年齢なら、こうであるべき」という日本的な考え方と、日本の友達と自分を比較することはきっぱりと捨てましょう。そうしなければ、あなたがどんなに焦り早くやろうとしても、「遅れている感」は、ずっとつきまとい、あなたを苦しませることになるからです。

アメリカ留学に関して言うと、英語を取得し、そこから英語で勉強して学位を取るところまで行くには、日本の大学に進んだ人よりは2-3年の遅れは出てくるであろうし、その後も、アメリカで永住権を取って自由にキャリアが選べるようになるには10年ほどの遅れが出ることも多いのです。

留学は2-3年でできることかもしれませんが、留学がなんらかの形となって結果として現れるまでにはもっと長い時間がかかります。10年かかろうと、そこまで目標に向かって突き進んだ人は、そこでやっと、日本の友達とは大きく違う人生を歩んでいることが目に見えてわかるのであり、そこでやっと、「へえー、君はすごいことをしたんだね」と人から見えるものが手に入るのです。それまでは、さなぎのような状態で、外からは何も進んでいない、何も手に入れていないように見えるものだと心得ましょう。

第二の留学バージョンは、特に女性には気をつけてもらいたいもので、それは「自分の幸せの形を知ること」です。アメリカで博士号を取ったり、CPAの資格を取ったりした優秀な女性が、急に「私の人生は間違っていた」と落ち込むことがあります。これも、日本の主婦の友達が子供に囲まれて幸せそうにしていたとか、日本の親がいとこに子供ができてから「孫が見たい」と言うようになったとか、そういう日本の情報がきっかけです。

留学前は、結婚や子供より手に入れたいものが留学にあるから選んだのに、その道で成功もしたのに、ふと、自分が選ばなかった人生や幸せがいいように思えてしまうのです。では、日本を出ずに専業主婦の道を選んでいたら幸せだったのでしょうか? 残念ながら、人生は一回しかないし、若いときも一度しかありません。選んだなら、選んだものを大切にし、選ばなかったものはきっぱりあきらめる、そういう覚悟も大切です。

留学とキャリアで婚期が遅れたり、バイオロジカル・クロックが過ぎてしまい自分の子供が持てないというのは、犠牲ではなく、あなたが選んだ人生の交換条件であるだけです。これから結婚したいのなら、これから婚活すればいい、自分の子供ができなければ養子をもらうことだってできます。自分が選んだ人生を絶対に卑下しないことです。

百人いれば、百通りの幸せの形があります。自分の幸せの形を理解し、それを手に入れる努力をすること、手に入れたら成功を認め、エンジョイすること。そして、それ以外の幸せの形は「この人生ではそれほど欲しくなかった幸せの形」として距離を持って見れるようにしましょう。

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