グローバルキャリア塾 連載コラム

韓国雑記-異文化の海を泳ぐ (第7回)

第7回:話の展開

NPO法人日韓コミュニケーション協会
理事長

木村 妙子

1998年ナレーター時代、韓国のスタジオで収録の為初渡韓し韓国に一目惚れ。以来仕事で日本と韓国を頻繁に行き来する事となる。1999年初頭から独学で韓国語を学び始め、同年8月休業して高麗大語学堂に短期留学。2004年KLPT(世界韓国語認証試験)日本開始の際設立された検定協会に入社。以後運営に奔走し2008年KLPTを引取りNPO法人日韓コミュニケーション協会設立。

(2011年3月1日掲載)

文化の違いは当然話の展開にも現れる。友達から「昨日何をしていたのか?」と聞かれて、「昨日は、映画を見に行った。」と答えたとしよう。日本では大抵「何の映画を見てきたのか?」と大抵の相手は聞いてくる。この会話の流れが一般的に思えるが、韓国は違う。

「映画を見にいってきた。」と言うと、十中八九相手は「誰と?」と聞いてくる。何の映画を見てきたのかというよりも、誰と見たかという方に重点が置かれるわけだ。「友達と見に行った。」なんて答えようものなら、「男?女?誰?」という質問が飛んでくる。

この展開は、日本人との会話では有り得ないとも思えるが、韓国人の場合、誰と話してもこれに近い展開をするように思える。そもそも間柄にも寄るが、日本では「昨日何していたのか?」という質問を人を選ばず他人に対して投げかける事をしないが、韓国では特に週明け友人や仕事仲間に会うと必ず「週末は何をしたか?」と洩れなく聞かれ、それに対してせっせと説明をする自分がいる。

そして私も韓国ではスイッチが切り替わるので、同様にこの「挨拶」を相手にぶちかますようにしているつもりなのだが、よくよく想い起してみると、結局わたしは日本生まれの日本人なので、スイッチが入ろうと、どこかが日本人なのであろう。要は細かく深く相手の懐まで届くようなコミュニケーションが欠けているので、根掘り葉掘り聞かれる羽目になるのである。

日本に8年間留学し現在ソウル大学日本研究所で教授をしている韓国人の恩人は、この事について「多分韓国人は、物じゃなくて人に興味があるんですよ。」と分析する。それに比べて日本人は人間というより、その人の背景や物に興味を持つのかもしれない。

そしてその興味について、直球ストレートを投げ込んで引き出す韓国人に対して、距離感を測りながら遠まわしに時間をかけて、相手の中には土足で踏み込まないように気遣いながら変化球を使い分けて投げる日本人との違いが又興味深いところでもある。

この面倒くさい変化球作業は日本人にしか出来ないワザだが、日本文化の美しさは、この回りくどいところにあるとも言える。文化というものは、どちらが良いとか悪いとかそういう問題ではないし、そのような愚説は謳わないというのが信条ではある。ではあるが、時折どちらも面倒くさくなり、日本と韓国の中間位の感じがあるといいのに、と思ってしまう事も事実である。

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