パレスチナ便り (第3回)
第3回:みんなの子ども
特定非営利活動法人 パレスチナ子どものキャンペーン
事務局長
田中 好子(たなか よしこ)
■特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーン事務局長。1986年の同キャンペーン設立に参加。パレスチナやレバノンの難民キャンプで、子どもの教育、保健、人権に関わる支援事業をコーディネート。国連パレスチナ問題NGO国際調整委員会委員、同アジア地域調整委員会委員を歴任。パレスチナのNGOはもとよりイスラエルの平和団体や各国のNGOとの関係が深い。 同キャンペーンは1996年に東京弁護士会人権賞を受ける。
翻訳書「イスラエル兵役拒否者からの手紙」(NHK出版)。
(2009年12月15日掲載)
1%エデュケーション基金のご支援ありがとうございます。支援先のひとつガザの「アトファルナろう学校」をご紹介します。17年前に私たちが開校したガザで最初の聴覚障がい者のための学校がこのアトファルナです。ガザに住むジェリー・シャワさんというアメリカ出身の女性と出会い意気投合して、一緒にろう学校を作ることになりました。人口の2%近い聴覚障がい者がいるにもかかわらず、それまで専門の教育施設はなく、聴覚障がいの人たちは学校に行くことができなかったのです。
<最初の年は先生の養成からはじめました。ヨルダンなどアラブ諸国やイスラエルのアラブ系市民のためのろう教育をモデルにもしました。当時ガザはまだイスラエルの軍事占領下にあり、行き来が比較的楽だったからです。そして、1992年に27人の生徒と8人の先生で開校しました。
「ろう学校誕生」のニュースはあっという間にガザ中に伝わり、入学を希望する親子が毎日アトファルナにやってきました。そのため、毎年生徒を受け入れ、手話を中心とした教育へと移行しました。いまでは、幼稚園から中学校まで350人の生徒、50人の教職員、70人の職業訓練生がいます。教職員の半数は聴覚障がいを持ち、聞こえる教職員も手話を習うことが義務づけられています。パレスチナTVで毎日ニュースの手話通訳をしているのもアトファルナの教員です。
ガザは経済封鎖や戦争など、普通の人でも毎日の生活が非常に大変です。特に障がいのある人たちは情報へのアクセスも難しく、緊急事態では疎外感を味わうことが少なくありません。そんななか、アトファルナでは聴覚障がい者が情報を得、コミュニケーションをとることができます。障がいのある子どもたちも「学校に行く」「自立をする」といった当たり前の夢をかなえることができてきました。夢と自立を実現する場となったのです。
障がい者のための公立学校が存在しないガザで、アトファルナもNGOの学校です。しかも授業料を払えるような家庭はありませんから、学校の運営は、日本をはじめとする世界からの寄付と、職業訓練生の作るクラフトで成り立っています。
アトファルナとはアラビア語で「みんなの子どもたち」という意味です。私たちみんなでこのろう学校を支え、ガザの聴覚障がいの子どもたちが成長し、夢をかなえることを見守って行きたいと思います。
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