グローバルキャリア塾 連載コラム

文明発展と本当の豊かさ~地球最後の楽園」パプアニューギニアに学ぶ (第4回)

第4回:想像する楽しみ--文明発祥の地はどうして発展しなかったのか?

PNG ジャパン(パプアニューギニア現地法人)
支配人

上岡 秀雄

1969年大阪市生まれ。神戸大学経済学部卒業。1995年青年海外協力隊員としてパプアニューギニアに赴任。2000年より現職。日本を始め、世界各国からの旅行者の受け入れ、TV撮影のコーディネートなどを行う。共著に「地球の歩き方―パプアニューギニア―地球の揺りかごを巡る旅」「パプアニューギニア―日本から見た南太平洋の宝島」。パプアニューギニア人の妻との間に1男1女

PNG ジャパン

(2011年5月1日掲載)

メソポタミア、インダス、エジプト、黄河など、世界の文明発祥の地はどうしてその後の発展から取り残されたのだろう。「豊かな地であったからこそ、知恵を絞る必要が無かった」、と言うのは一つの有力な仮説だろう。しかしそれだけでは説明できない部分もある。

余り知られていないが、実はパプアニューギニアのハイランドもその一つである。
マウントハーゲン近郊のクック遺跡は、2009年、パプアニューギニアで初めてユネスコの世界遺産に認定された。
この遺跡から、この地域では少なくとも9000年前には大規模な灌漑設備を持つ農業が行われていた事が判明した。これは世界で最も早い農耕文明がニューギニア高地で起こっていたことを証明している。日本では縄文時代の初期、竪穴住居に住んで採集と狩猟を主な生業としていた頃である。

当時の世界文明の最先端を走っていたニューギニア高地人。しかし彼らはその後歴史の表舞台から忽然と姿を消す。

更に興味深いのはラピタ人と呼ばれる民族である。3500年前にニューギニア付近から現れたこの人々は高度な航海技術を持ち、世界で初めて遠洋航海をした民族と言われている。南太平洋一帯に文明の種をまいた後、これまた、忽然と消えた。

そして次にニューギニアが歴史に登場するのは19世紀も終わり、西洋列強に好きなように分割・植民地化される極めて文明度の低い土民として、である。

世界最先端の文明地域から、世界で最も遅れた非文明国へ。
ここまで落差が激しいと、何か意図があったのではないかと勘繰りたくなる。
太古のニューギニアには文明をもたらした賢者が居て、文明発展が行きつく先の害悪を予測していたのではないか。その為に、「鎖国状態」を作り出して、自然と共に生きる生活を選択したのではないか?つまり、文明発展を意図的に選択しなかったのではないだろうか、と言うのが僕の仮説で、いつの日か、この仮説を証明してやろうと考えている。
そんな事あるわけない、と笑う人はいるが、真実は歴史学者でさえも解き明かせていない。
だからこそ、想像する楽しみがある。

さて、留学を目指す人へのグローバルキャリア塾としては話が大きく脱線した。
物凄くロマンのある話だが、それを知ってどうなるの?と言う人もいるだろう。
しかし、人生でも、無駄だと思っていた事が後から大きく役に立つ事もある。
それが何のためになるのか、なんて考えずに、「面白そうだからやってみる」と言う事を出来るのは若者の特権である。

一定の年齢になって家族や社会的地位とかが出来てくると、いや、そう言ったしがらみがなくとも、年を取るだけで、こう言った事は相応しくないのではないか、等の「思慮分別」や「社会常識」が行動にブレーキをかけるようになる。

しかしながら、最近は青年海外協力隊にもシニアボランティア―という制度があって、会社勤めを辞めて、見ず知らずの発展途上国に飛び込んで来られて奮戦されるシニアーの方が多く居る。彼らのバイタリティには頭が下がる思いだ。若者の特権、と書いたが、心さえ若ければ、チャレンジする意欲があれば、年齢は関係ない。

年はとっても、せめて心だけは若く、「面白そうな事」を考える気持ち、チャレンジする意欲は失わずにいたいものだ。


▼世界遺産、クック農業遺跡付近の畑の現在の様子。
この辺りは昔からの湿地帯で、2メートル以上の灌漑用の堀が多く見られる。
9000年前との違いは作物だけかもしれない。

世界遺産、クック農業遺跡付近の畑の現在の様子

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