グローバルキャリア塾 連載コラム

日本人妻の異文化奮闘記 (第3回)

第3回:「サヌチョリウォン/産後調理院」とお義母様の知恵袋

K-Academy
コミュニケーションサポート部マネージャー

鍛冶谷 このみ

高校卒業と同時にニュージーランドの私立カレッジへ留学したが、生活が合わず半年後オーストラリアへ渡り、国立ラトローブ大学へ入学、2008年卒業。その後東京で雑貨メーカーの社員として働く中、レストランで出会った韓国人男性と結婚し半年後渡韓。韓国では言語学習のかたわら、オンライン韓国語スクールK-Academyにて自身の長期にわたる多文化生活の経験から、コミュニケーションサポート部マネージャーとしてアイディア満載な語学レッスンと留学サポートを企画・提供している。
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リトルムーンインターナショナル株式会社

(2013年2月15日掲載)

皆さんは産後院をご存知ですか?そう、女優の小雪さんも韓国での出産の際に利用した、産後ケアのための民間施設のことで、今韓国全土でも大人気なのです。

ということで、前回の終わりに予告した内容とは大幅に違いますが、今回の第三回目は今話題のこの「サヌチョリウォン/産後調理院」についてと、お義母様に韓国の産後のしきたりを伺った際の出来事をご紹介します。

私も以前、産後院については耳にしたことがありまして、なんでも、漢方療法、食事管理、そしてヨガなどの母体の健康管理だけでなく、24時間赤ちゃんのお世話までしてくれるという、女性にとっては至れり尽せりの施設なのだとか。ですがその費用は2週間の利用で150万Won(約12~3万円)以上と、韓国の平均所得からするとかなりハードルが高め。

そのようないわゆる贅沢品が、なぜ全国的に発展しているのかというと、産後のリカバリーはもちろんのこと、そこでママ友を作れたり、情報交換ができたり、精神的リフレッシュができたりと、健康以外のメリットがあるのもポイントのようです。また、昔と違い核家族の家庭が増え、家に補助をしてくれる人がいないのと、韓国は出産の3日後に退院しなくてはいけない上に、産休をとりずらい職場が依然少なくなく、産後すぐに仕事に復帰せざるを得ないことも要因なのでしょう。

出産の話が出る度に韓国人からよく聞く話、それは、「産後1ヶ月間は毎食わかめスープを食べる」ということ。三食すべて?!とかなり驚いたのですが、わかめは体に溜まった老廃物を出し、なおかつ子宮を縮める効果があるので、母体には良い事づくしらしいのです。そこで気になったのが、韓国の産後のしきたり。このコラムでもご紹介できるのではと思い、早速お義母様に伺ってみました。

まず、母乳をよく出すために牛の骨や豚足で出汁をとったスープを飲み、体のむくみを取るためにかぼちゃのスープを飲むとのこと。また、韓国には「3・7日」という言葉が有り、産後21日間はシャワー・お風呂・水仕事等で水に触れることを避け、その期間はオンドルで暖められた部屋で、汗を良く流し体を温めるのがいいとされていること。そして、それは出産で弱くなった骨・関節が(韓国ではこれを「骨に風が入る」といいます)、炎症を起こさないにないようにするためと言われていること。

他には、鯉やドジョウのスープを飲んだり、冷たい風を避けたりと、韓国特有のものを探すはずが、意外にも日本と似ているものばかりだったのですが、私が驚いたのは、その返答の速さと質!医療関係に携わっているわけでもなく、インターネットや本で調べたわけでもないのに、質問するとその場で、しかもとても細かく答えてくださいました。これはまさしく、昔からの習慣が今でも身についている証拠ですよね。新しい物に惹かれがちな現代ですが、昔ながらのものを古臭いと思わずに受け継いでいくことも、悪くはないと感じたのでした。

今回は、韓国の産後調理院と、お義母様の昔ながらの知恵をご紹介しました。

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