One risk, one day (第2回)
第2回:自分のuniquenessを知る
まなび株式会社
代表取締役
大塚 雅文
まなび株式会社代表取締役。「高いコミュニケーションスキル、クリエイティブなマインドを持つグローバル人材の育成」を目標に、英語によるDiscussionの行い方、Creativityトレーニングなどのワークショップを実施。ビジネスプロフェシュナル向けのプライベート英会話スクールも経営。
慶応大学経済学部卒業。大手都市銀行に入社。4年弱で退社。その後、米国バージニア大学 にてMBA取得(授業料全額免除の奨学金取得)。2002年、卒業と同時にまなび株式会社設立。
まなび株式会社HP : http://manabi.st/
(2010年12月1日掲載)
誰もがuniquenessを持っています。しかし自分のuniquenessに気づいている人は意外と少ない。Creativity研究の代表的な本である"Uncommon Genius"の中で著者のDenise Shekerjian氏は「普段、自分が意識しないで普通に行っている、誰もが出来て当たり前と思い込んでいることの中に、uniquenessは隠れている。」と書いています。
私自身のuniquenessの一つは「普段我々日本人が無意識に行っているコミュニケーションの取り方がよく見える」と思っていますが、これがuniquenessであるとは昨年まで全く気づきませんでした。まさしくShekerjian氏の言う通りで、偶然が重なり、昨年突然大きな気づきとして現れました。
きっかけは、本を読むのではなく聴くというスタイルとの出会いからでした(詳しくは私のブログ「洋書をAudio Bookで聞く」をご参照ください)。
昔から本はよく読んでいましたが、自分にとって余程読みやすく面白く書かれていない限り、すぐに飽きてしまう。飽きっぽい性格なのか集中力がないのか常に4-5冊同時並行で読んでいました。
Audio Bookを実際に聴いて見ると読むよりもその内容に集中できます。しかも読んでいる時と違って何故か大きくinspirationが掻き立てられ、今の面白い話・コンセプトを現在の自分に状況に応用できないかと発想がどんどん膨らんでいく。一番初めに聴いた本が"The World is Flat(邦題:フラット化する世界)"であったせいか、「世界ではこんな面白いことが起きているのか」、「もっともっと自分の知らない面白い話を知りたい」と大きく好奇心が刺激され、その後ビジネス、貧困・環境等の社会問題、心理学、教育とジャンルを問わず次々と本をダウンロードしまくりました。そして多くの面白いストーリーやコンセプトにさらなる刺激を受け、それらを書き留めてきました。
ストーリーがどんどん書き溜まっていくと「今、世界でこんな面白いことが起こっているんだよ」とどうしても周囲に話したくなります。そして自分の話が周りに刺激、inspirationを与えているのが分かるともっともっといろんな人に伝えたくなる。それだったら「教材にしてしまえ」と思い、弊社の講師に特に私が面白いと思った、誰しもが「そんな面白い話があるんだ!」と感じるようなストーリーを教材にし、講師に冒頭の5分程度でそのストーリーを説明させ、その内容についてDiscussionする形式のレッスンをやらせてみました。
弊社のプライベートレッスンは全て電話・Skypeを通じて行われる為、普段私は聞くことができません。しかし、今回は生徒がどんな反応をするのかとても興味があり、どうしても実際のレッスン音声を聞いて見たい。そこで生徒にお願いをしてレッスンを録音させていただきました。
前置きがかなり長くなってしまいましたが、自分のuniquenessに気づき始めるのはここからです。
実際にレッスン音声を聞いて見ますと自分が思い描いているものになっていない。驚くべきことに肝心の冒頭のストーリー自体が伝わっていない。内容が伝わらないと話が発展しようがありません。詳しく聞いていると「どんなことをしてでも話の内容を理解しよう」という姿勢が生徒側から感じられない。ストーリーは全て5分足らずで伝えられるシンプルなものなのに、ほとんどの生徒が「um-hum」と黙って聞いている。後でレッスンの印象を聞くと「難しかった。あの単語が分からなかった瞬間に置いていかれた」という。
面白いことに講師にレッスン終了後に「ストーリーの内容はきちんと伝わったかと思ったか。」と聞いたところ、「伝わったと思った」という。ただその内容を元にDiscussionをはじめようとすると理解できていないことに気づく。しかも話の内容が理解できていないのか、Discussionの質問が理解できていないのか分からない。弊社の講師は日本に数年住んだ者が多く、日本文化を良く理解しており、帰国後も弁護士や医療コンサルタントなどとして活躍し、知的レベルもコミュニケーション力も高いはず。それなのにこういったことをいう。
レッスン音声を聞けば聞くほど「自分は他の人が見えていないものが見えているのではないか」と思えるようになってきました。「日本人は無意識に英語を日本式コミュニケーション方法で使用しているのではないか。そして欧米人もそれに気づいていないのではないか。」と。
今でも良く「英語を使っているときの大塚さんはまるで別人に見える」といわれますが自分ではその意識はまるでありません。「英語と日本語どちらのほうが話しやすいですか?」ともよく聞かれますが「日本語の方が考えを伝えやすいが、英語の方がストレートにモノが言えて楽。」と何となく答えていました。
私は12歳で7年間住んだアメリカから日本へ帰国。あまりにも文化の違いにショックを受け、日本人以上に日本人になろうと一生懸命努力してきました。その後28歳で自称スーパー日本人(笑)としてアメリカにMBA留学をし、今度は逆カルチャーショックを受ける。必死に環境に適用しようと、無意識にコミュニケーションの取り方を変えていた自分に今回のことを通じて、昨年、しかも36歳を過ぎてようやく気づきました。
これに気づくと、どういった心理が日本人のグローバル化を邪魔しているのかが良く見えてきます。
"Uncommon Genius"の中である有名なノンフィクション作家が「自分が文章が特にうまいと思ったことが一度もなかった。よく人に『あなたの書くエッセイは素晴らしい』と言われたが、それが特別な才能だとは思わなかった。誰しもが頑張れば出来るがあえてやっていないことだと思っていた。でもある事件がきっかけとなり、『自分は他人が見えていないものが見えているのではないか』と感じるようになり、自分のuniquenessに気づいた」と語っていたのが非常に印象に残っています。
もちろんこんなすごい人と私など月とスッポンの違いがありますが、Shekerjian氏も「誰しもがuniquenessを持っている」と"Uncommon Genius"を通じて何度もメッセージを発しています。"Listen for the special music, the song that nobody else can sing but you."という彼の言葉大きく胸に刺さります。自分にしか歌えない特別な音楽、今後も注意して耳を澄まして問いかけていきたいと思います。
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