もっと知りたい!国際機関での仕事 (第2回)
第2回:国際移住機関(IOM)
外務省 国際機関人事センター
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(2017年6月1日掲載)
「もっと知りたい!国際機関での仕事」の第2回目として、国際移住機関(IOM)駐日代表の佐藤美央さんに登場いただき、IOMについてお話してもらいます。
IOMは、昨年2016年に国連システムに入ったばかりの国際機関です。昨今、移民の関連で仕事が増えている国際機関で、意外と多くの日本人職員の方が勤務されています。
ご紹介いただきました、国際移住機関(IOM)で駐日代表を務めております佐藤美央です。
■IOMとは?
IOMは、世界的な人の移動(移住)の問題を専門に扱う国連機関です。「正規のルートを通して、人としての権利と尊厳を保障する形で行われる人の移動は、移民と社会の双方に利益をもたらす」という基本理念に基づき、移民個人への直接支援から関係国への技術支援、移住問題に関する地域協力の促進、移住に関する調査研究などを通じて、移住にまつわる課題に取り組んでいます。
■IOMの歴史とその役割
IOMの前身は、1951年に主として欧州からラテンアメリカ諸国への移住を支援するため、当初は国連システムの外に設立されました。当初の活動地域は世界中という訳ではなく、欧州・ラテンアメリカが中心で、その後、徐々に世界各国へと拡大しました。そして2016年9月19日、多くの難民・移民が国境を越えて移動せざるを得ない危機的状況を背景に、国際社会の今後の対応を議論した「難民と移民に関する国連サミット」が国連本部で開催された際に、国連に加入しました。
IOMが活動の対象とする「移民」(移民の定義はこちら http://www.iomjapan.org/information/migrant_definition.html )は今日、国境を越えるもの、国内移住を含めて、有史以来最も多い10億人、すなわち世界の7人に1人が移民と推計されています。情報通信・交通手段の発達だけでなく、気候変動、自然災害、人的災害、紛争、先進国での高齢化、途上国における若者の失業の急増、北と南の国々での社会・経済的不均衡などの要因で、人の移動(移住)が大規模になっています。
IOMは国連機関でありながら、現場での直接的支援が多く、受益者との直接的な関わりが多いこと、人の移動に関わる幅広い分野の活動を行っていることなどが、特徴として挙げられます。また、国連の中では小さな機関なので、時にはいくつもの役割をこなしながら、何事にも柔軟に対応しなければなりません。
■IOMで働く日本人職員
IOMでは2016年末現在、31人の日本人国際職員が活躍していますが、うち5人が現役のJPOです。IOM内での日本人JPO経験者の割合は多いと思います。間違いなくJPOはIOMへの就職の大きな門戸の手段の一つと言えますし、JPO後の定着率(注:JPOを経験した日本人職員が正規職員ポストを獲得する割合のこと)も、IOMは比較的高いと言えるでしょう。しかし、政府関連の職務経験者、NGO・民間企業での勤務経験者が採用されるケースや、インターンとして勤務していて正規採用されるケースなど、IOMに入職する経緯はさまざまです。IOMは日本人職員の積極的な採用に努めています。
日本人職員が多い職種は、事業管理、ドナーとの連絡調整やレポーティング、新規案件開発などです。国内避難民など、紛争や災害の影響を受けて移動する人々を支援する緊急人道支援では、急に多くの職員が必要となるので、IOMへの正規採用のきっかけとなりやすい状況があります。移民政策や出入国管理業務の知識や保健・医療、土木・建築、法律などの専門知識を生かした職種に付いている人もいます。今後、日本人の仕事に対するきめ細かさを一層生かせる、人事・財務・経理・IT・調達・ロジスティックスなどの管理部門、あるいは人の移動に関するデータ管理や統計の分野でも日本人職員が増えることが期待されます。
IOMは事業別予算システムを導入しており、ほとんどの人件費と経費は、それぞれの事業費に組み込まれています。ですので、各事務所の事業内容やその規模によって、求められる職種が変動します。各職員は担当の事業が終了すれば次の仕事を探すことになります。異動が頻繁な上、途上国で生活することが多く、健康面や習慣、家族との関係において、どうしてもこうした働き方が合わない場合もあります。しかし、さまざまなことに挑戦できる土壌があり、多様性のある職場で、人の移動に関する課題に取り組むことに関心のある方には、是非チャレンジしてほしいと思っています。
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