Where there is a will, there is a way ～意志あるところに道は開ける～　（第2回）

今回は、自分は何者かに悩んだ10代～大学時代について。コラム趣旨から若干離れますが、後の就職・留学・起業にも大きく影響しているので触れさせて下さい。何か一歩を踏み出せない方への参考になればと思います。

私は10歳でバスケットに出会い、夢中になりました。仲間と恩師のおかげで中学時代に県優勝、高校で県の国体選抜選手に。地方とはいえ一定の評価を受けた経験は、自分に自信のなかった少女にはあまりに嬉しいもの。自分にはバスケがあるという喜びが“国籍が皆と違う”悩みを小さくしてくれました。

スポーツ進学の声もありましたが、外国籍の私では将来の可能性を狭めるとの父の懸念で、一般受験。厳格な父は「勉強も何でも人の2倍頑張って普通と思え」という人でした。

高校は進学校で、部活に熱中した私の成績はほぼ3年間偏差値40前後と厳しいものでした。高3秋で引退した私は、翌日から全エネルギーを大学受験に注力。バスケ生活に納得出来たからか、自分でも驚くほどのギアチェンジでした。

一日14時間、3ヶ月一心不乱に勉強。受験直前模試では希望大学全てＥ判定でしたが「一ヶ月前のテスト結果は信じない。毎日進化中だから」と勝手に思い込んで無視。先生方は肝を冷やしたそうですが、仲間と苦しい練習に耐えた経験で培った集中力と忍耐力で、私はラッキーにも大学に合格。自分に少しずつ自信がつき始めました。

合格に喜んだのも束の間、父は私に大学から本名で通う事を強制、私は一気に憂鬱に。強引ですが「大学生活で恋愛や就職、海外旅行など今まで以上に国籍を意識する機会がある。思い切って向き合え」との父なりの判断でした。

私は当初本名に大変気負いましたが、拍子抜けするほど周りの反応は変化なし。“ちょっと変わった名前、172cmのバスケ人間、ショートヘア”の私はどこでもよく覚えてもらえました。「そうか、全部ひっくるめて私なんだ。姓はルーツ。ハンデじゃなく個性」私は長いトンネルを抜けた気分でした。

はみ出る事の素晴らしさと怖さの間で揺れ続けた歳月は私の個性を徐々に際立たせ、日本に居ながら少し客観的な視点を与えてくれました。よく“立場が人を作る”と言いますが、本名で生きると自然に背筋が伸びます。「目立つ名前でヘンな生き方しちゃいけない」と。

在日コリアンの就職は難しいと聞いていた私は、資格取得を考え大学と会計学校とのＷスクール生活をしていました。3年の冬ともなると友人との話題は自然と就活に。「私だけ本当に一般企業は無理？就職差別を言い訳に自分で逃げてない？」と感じダメ元で就活をする事に。

手探りでハガキ応募から始め、数え切れない面接を経て、縁あって内定を頂いたのが生保総合職。「型にはまらない所が良かった」と後で聞きました。私の大学からは初の日本生命女性総合職の内定だったそうです。銀行・証券会社でも最終面接中でしたので、私の経験上ですが、悩みをプラスに変える力をつければ就職差別など特にないと思います。気になる事は自分で動いて確かめる。行動が新たな縁を生む。それを肌で感じた就活でした。