グローバルキャリア塾 連載コラム

インド・ビジネス・レポート (第5回)

第5回:インド産ワイン

グローバル・マーケティング・アソシエーション株式会社
代表取締役

粟野 亮二

同志社大学大学院ビジネス研究科修了(MBA)。グローバル・マーケティング・アソシエーション株式会社代表取締役。マーケティングを軸に日印間でビジネスを展開している。研究論文やビジネス専門文書の校正、翻訳、海外出版サポート事業(http://www.manuscriptedit.jp)や貿易、インド進出サポートなど。

■URL http://www.global-marketing.co.jp
■E-mail awano[@]global-marketing.co.jp
※[@]を@に置き換えてご送信ください。

(2015年4月15日掲載)

インド産のワインと聞いて、皆さんはどんなイメージを持たれるだろうか。インドでワインが作られていることを知らない方も多いかもしれない。しかし、事実、インドでは良質なワインが生産され世界に輸出されている。その代表的な産地となっているのがインドの南西部にあるナシク(Nasik)という町だ。

昨年、そのナシクへは、プロジェクトがあったため何度か訪れていた。ナシクは、ムンバイから内陸に約200kmの場所にある人口100万人程の地方都市だ。ムンバイから高速道路で3~4時間かかる。海抜が600mと高地になっているので、年間通しての最高気温も30度前半くらいと、インドにしては比較的穏やかな気候となっている。ナシクは工業地帯としても有名で、インド国営の航空機メーカーであるヒンドスタン航空機やマヒンドラマヒンドラ、ドイツのボッシュの工場もある。

前述の通り、そのナシクはインド最大のワインの生産地となっており、複数のワイナリーが存在しているが、その中でもスーラ(Sula)は特に有名だ。スーラの創業者であるラジーブ・サマント氏は、もともと米シリコンバレーのIT企業で働いていた。しかし、生まれ育ったインドで起業することを希望し、家族の所有する土地があるナシクで農業を始めた。そこで、ワイン生産の可能性を感じ、ナシク初のワイナリーを1999年に開始した。彼自身が、アメリカのワインで有名なカリフォルニア州スタンフォード大学で学んでいたことも、ワイン作りという着想を得た理由なのかもしれない。そのスーラが、今や、世界で高く評価され、保守的なインドのアルコール市場をも変えようとしている。気候が厳しく、アルコールがタブーとされ、ワインに馴染みのないインドにおいて、ワイン作りという新しいアイデアを生み出し実行に移したサマント氏は、まさに起業家の鏡と言えるだろう。

さて、スーラのワイナリーに行くと、ブドウ園が一望できるワインバーが2階にあり、美しい景色を眺めながらワインを楽しむことができる。2階のバー以外にも、イタリア料理、インド料理レストランが併設されており、ワインを飲みながら美味しい料理を堪能できる。機会があれば是非ナシクのワイナリーへ訪れてほしいが、実はこのワイン、日本でも飲むことができる。インターネットで入手できるので、興味がある方は一度インド産のワインを味わってみてはどうだろうか。

スーラワイナリーにて
▲スーラワイナリーにて

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