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コラム「行けばわかるさ」第7回

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第七回:主体的学習のすすめB

丹勇貴

扶桑法務事務所

丹 勇貴(たん ゆたか)


大学卒業後、特殊法人職員、翻訳・通訳業などをしながら、週4日はサッカークラブの夜間練習に参加するという“夢追い人生活”を経験。夢追い終了後、商社勤務、レストラン経営等を経て現職。著書「就職は自分の“売り”で勝負しろ」


■ 受験英語は意思伝達能力とはあまり関係ない

「日本人は受験のための英語しかしていないから、英会話が苦手」といったことは、相当以前から言われています。大学入試などの受験英語は読解力や文法が中心で、英語を「話すこと」と「聞くこと」は、入試に合格するための重要度という意味では、優先順位はあまり高くありません。
これは日本語教育に関しても言えることで、国語の授業でも、受験対策としては漢字の読み書き、長文読解、作文などが重視され、口頭で相手に自分の意思を伝える練習などは殆ど行われていないのが現状です。

私は個人的には、「入試」や「資格試験」というものは、一種の“ゲーム”であり、如何にして効率よく高得点を挙げるかを競うものであると考えています。ですから、別に自己主張や他人とのコミュニケーションが下手でも、“ゲームの達人”にはなれます。その意味では、日常会話や一般的なビジネスに必要な英語の能力レベルは、受験英語の点数とは必ずしも比例しません。文法的に間違っていても、誠意や熱意があれば、異性を口説いたり、商談を成功させたりすることは可能ですから。

今日の風潮として、ようやく入試英語から解放されたと思ったら、今度は就職のためにTOEIC®TESTなどの英語資格試験を受けて、それなりの点数やランク付けをもらわないと、有利な就職や出世ができない世の中になりつつあります。
TOEIC®TESTなどの試験は、入試の英語に比べると実務的要素が多いので、そのための試験勉強は、英語による意思伝達能力を向上させる上で役に立たないわけではありませんが、入試と同様、「傾向と対策」を分析して、効率的に点をとるという“ゲーム性”はありますので、何回も受験していると、そのうち解答テクニックだけで得点が伸びていくという現象が起きます。

私の友人で、語学学校の講師をしていた英国人がいるのですが、彼の生徒にTOEIC®TESTの試験を毎回受けている日本人女性がいて、あるときTOEIC®TESTの問題を解く練習を、その女性と彼が時間を計って競争したところ、ネイティブで英語講師をしている友人よりも、その日本人女性のほうが問題を解くスピードは速かったそうです。もちろん、英会話を習いに来ているその日本人女性が、ネイティブの英語講師よりも英語力が優れていることはあり得ないので、これはまさに解答テクニックを磨くトレーニングのなせる技としかいいようがありません。

入試や試験などのための英語の勉強は、やればやっただけ間違いなく英語力は身につきますので、やらなくてはならない立場にある人は、しゃかりきになって勉強すれば、その努力は決して無駄になることはないでしょう。しかし、「効率よく英語による意思伝達能力を身につける」という観点からは、これらの受験対策は最善の勉強方法とはいえません。TOEIC®TESTで高得点を取ったからと言って、自分がネイティブに近づいたと思うのは、大いなる勘違いかも知れません。

■ 英語で自分の意思を伝達できるかどうかは、日本語力にかかっている  

非英語圏の国民で、英語をネイティブ並みに話せる人は「ものごとを英語で考えている」とよく言われます。たしかに、英語圏に住み、まわりを飛び交う言語が英語という環境にいれば、会話の相手と素早い言葉のやりとりをする上では、英語で考えざるを得なくなるでしょう。しかし、我々日本人が日本に住んでいながら「ものごとを英語で考える」ことは、相当な無理があります。結婚相手が英語圏の人だったり、社内公用語が英語という外資系企業などに勤めていたりすればあり得る話ですが・・・。

日本に住んでいる以上、思考は日本語で行うのが普通ですので、日本語による意思伝達能力が未熟なうちは、英語による意思伝達能力を向上させることが難しいのは当たり前といえます。この当たり前のことが、実は理解されていないことが少なくありません。日本語で自分の意思を人に伝えるのが下手な日本人が、流暢な英語で意思伝達できるようになるためには、まずは母語である日本語の能力を鍛えることが先決です。

英語のみならず、どんな言語でもその能力を高めるためには、読書量を増やすことが不可欠です。日本人なのに、「日本語の本は読まないけれど、英語の本はよく読む」などという人はあまりいないでしょう。したがって、「英語力を身につけたいけれど、自分は母語の日本語でも今ひとつ思うように意思伝達が出来ていない」と思う人は、英語の勉強とは一見関係ないように思えますが、まずは多くの日本語の本を読み、脳の言語中枢を活性化しておくことも、英語を吸収する脳の“基礎体力作り”をするという意味で効果があると私は考えます。

■ 一人でもできる日本の英語教育の改善提案

これまでに述べてきた、我が国の英語教育の問題点は、我々一人ひとりが少しだけ“意識”を変えれば、改善できることばかりです。私は日本人が、次の事柄を認識しながら英語学習に取り組めば、英語に対する苦手意識やコンプレックスが和らぎ、国民全体の英語の学習効率が向上すると考えます。

1.英語はコミュニケーション手法の一つである。
2.英語を勉強する目的は、自分の意思を相手に伝えられるようにすることである。
3.英語は所詮“コミュニケーション・ツール”なのだから、極端なことをいえば、
  意思伝達機能が果たせれば、発音や文法の正しさは二の次で良い。
4.他人の英語の発音や文法の間違いをからかったり、茶化したりしない。
5.格好良くしゃべることよりも、確実に自分の意思を相手に伝えるための語彙力
  を身につけることに重点を置く。

どうでしょう?これらの事柄は頭ではわかっていても、いざ自分が英語の勉強を始めるとなると、どうにも割り切れないことばかりではないでしょうか?ならば、今度機会があったら、隣国の中国や韓国で「アイ・スピーク・イングリッシュ!」と胸を張り、現地の人たちと英語で議論を戦わせてみてください。私がここで言わんとしたことが、きっとわかりますよ。

※TOEIC® is a registered trademark of Educational Testing Service.



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