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コラム「ニッポン人のさとり方」第40回

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第40回: そこには絶対に負けられない戦いがあった:フィリピン人の日本の短期滞在ビザ取得

松岡 祐紀さん

株式会社ワンズワード
代表取締役、写真家

松岡 祐紀

19歳でスコットランドのエディンバラに留学。NYにてスタジオアシスタントを経験した後、ロンドンに在住。帰国後はフリーランス・フォトグラファーとして活躍。2009年にノーベル平和賞受賞者ムハマド・ユヌス氏の「ソーシャルビジネス」という理念に感銘を受け、株式会社ワンズワードを起業。レッスンの質の高さを売りにしたオンライン英会話スクール「ワンズワードオンライン」を立ち上げる。

2011年よりブエノスアイレスへ移住、さらに第三の故郷としてメキシコシティに居住。2014年3月に中南米・南米の英語学習者のためにスペイン語版ポルトガル語版英語版のオンライン英会話スクールを開設。現在は、ブエノスアイレス、メキシコシティ、日本を行き来して、ソーシャルビジネスの理念の普及と事業拡大を目指している。 >>詳しいプロフィールを読む

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それは優雅にスペインのグラナダでタパスを楽しんでいる時に起こった。

その日の夜にはバルセロナを経由して、クロアチアのドゥブロヴニクに行く予定だった。ただ問題はバルセロナには深夜0時に到着して、その日の朝8時バルセロナからにドゥブロヴニク向かうことだった。

そんなことを考えながら、やおら愛用のMacBook Airを開くと、JOYさんから一通のメールが来ていた。5月30日に3名のフィリピン人先生が来日予定だが、そのビザに関してだった。

過去2年、フィリピン人先生を日本に招待し、何の問題もなかった。だから、今回もなんの問題もないと思って、メールを開いてみると、「日本の短期滞在ビザが却下された」という文面だった。もう一秒後にはJOYさんにスカイプで連絡して事情を聞いた。


フィリピン国籍の方が短期滞在を目的として日本へ渡航する場合

過去2年、上記にある文書を書き、ほぼ同じ文面で提出してなんの問題もなかったので、今回も同じ内容でいいと判断して、提出した。それなのに却下である。この時点で来日まであと10日くらいしか残されていなかった。

詳しく事情を聞くと、「ビザ却下理由は一切教えてもらえず、そのあと短期滞在ビザの申請は半年間出来ない」とのことだ。JOYさんは涙を浮かべ、今回のビザ申請を行ったBEEJAYに至っては微妙な精神の均衡を保っている表情でなんだか怖い。彼女たちはもう120%日本行きを諦めていることだけは理解した。

「とにかく一度、大使館の人と話して、なんとか理由を訊くようにするから、それまでKristinとShawieには言うな」と言ってスカイプを切り、マニラにある大使館に電話したがあいにく営業時間外だった。そこで、猛スピードで「フィリピン人の日本短期滞在ビザ」について調べ始めた。

そして、一点気になる条項を見つけた。彼女たちの言うとおり、申請が却下された場合は半年間は申請出来ない。だが、「同じ目的では申請」出来ないということだ。(ちなみにこの情報は日本語のサイトでのみ確認でき、英語では書かれていない。だからJOYさんたちが120%諦めたのも理解出来る)


各種目的に応じた提出書類について

上記には同じ短期滞在ビザ申請でも合計7つもの目的に分かれている。今回、および過去二回は「商用目的」で申請し、今回のみ却下された。だから、理論上ほかの目的による申請・・・・例えば「観光目的」で申請することは可能なわけだ。

ただ問題はフィリピン人の観光ビザ取得はとても難しく、ほぼ無理との話しだ。だが、ほかに選択肢がないので、この一択に賭けるしかなかった。

バルセロナの空港に着いても、有料wifiで色々な情報を確認し、そして深夜2時半(マニラ時間朝8時半)になってマニラにある日本大使館に電話した。だが、音声案内で「ビザ申請については、代理店を通してください」というアナウンスが流れるだけで話すことは出来なかった。緊急の時以外は対応してくれないらしい。

仕方がないので、その代理店に電話して、詳しく事情を話し、「今回は商用目的でビザ申請が却下されたが、今度は観光目的で申請出来るか?」という点に確認したら、「問題ない」と返答を得た。(フィリピン人の日本滞在ビザ申請は、大使館に直接申請するのではなく、「代理店」と言われるところを通して行う。ちなみにJOYさんたちが確認してもこの情報は教えてもらえず、あとで確認するという一点張りだったらしい)

そこからまたJOYさんに連絡し、事の経緯を話し、3人の先生の出生証明書、婚姻証明書(Shawie)などが早急に必要あることを伝え、こちらもまた新しく文書を書き、日本の自分の銀行に電話して残高証明書などを発行してもらう手はずを整えた。

今回は追加の種類など出せと言われてももう時間がないので、考えつく限りの書類を集めた。


「あきらめたらそこで試合終了ですよ」


と、安西先生もおっしゃっているとおりだ。何でも人の言っていること、二次情報を鵜呑みにしないで、自分で調べ、その情報の裏を取り、確認してから行動すべきなのだ。(英語だと「Don't give up... Cleave to hope till the very end. When you give up, that's when the game is over.」とのこと)

諦めたら、そこでおしまいだ。

すべての文書の用意を整え、あとは文書が揃い次第、マニラにFEDEXで送るだけだった。そして、JOYさんからの「ビザ却下」のメールが来てから4日後にはマニラにすべての書類を送った。マニラには金曜の夕方到着し、ほかの書類を合わせて、土曜日の朝に提出した。

この時点で日本来日まで、あと5日間。ビザ発給までギリギリのタイミングである。 そして、そこから眠れない毎日が始まり、深夜に何度も起きては、フィリピンからメールが来ていないか確認し、観光どころではなくなった。

そして、今日だ。 もう明日出発という段階になり、「いよいよやばい」ということなった。BEEJAYやJOYのさんが何度も代理店に電話したのが功を奏して、大使館直通番号を手に入れた。

そこで大使館の人に連絡し、事情を話し、「明日出発だから、確認してください」と頼み調べてもらった。大使館の人からは折り返し連絡するよう言われ、10分後に連絡すると、「フィリピン人の不法滞在は群を抜いて多いので、くれぐれも身元保証人の方がきちんとフィリピンに返すように責任を持って対処するよう」注意をされた。

「もちろんです」と即答し、ということはビザの発給を受けられるのかと訊くと、「はい」という返事が返ってきた。

今回あまりの理不尽なビザ却下に大使館に対しては怒り心頭だったが、直接話しを聞くと、「大使館の人も大変だな」と心底思った。そして、BEEJAYに電話したが出られなかったので、JOYさんに電話したら、電話の向こう越しから歓喜の雄叫びが聞こえてきた・・・・・

それにしても長い、長い戦いだった。すべてのチケット、宿泊先は2ヶ月前に予約および支払いが終了しており、これで来れないということになったら、すべてパーになるところだった。それらに費やした時間も半端ない。

今回得た教訓は「準備は徹底的に抜かりなくやり、それでダメでも決して諦めず、再度チャレンジしろ」ということだろうか。まあ、あとこういう場合は日本にいることにしないと周りに迷惑をかけるし、自分も死ぬほど大変だということを痛感した。

心身ともに消耗したが、それで彼女たち3人に日本に来て、新しい経験や知見を手に入れてくれたら安いものだと思う・・・・・でも来年もこれをやると思うと気が引けるのは事実なので、今年で最後になるかもしれないのでぜひご参加を!←冗談です、ほんと冗談です・・・・



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