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コラム「ニッポン人のさとり方」第43回

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第43回: とある女友達のための未完成の戯曲:メキシコシティにて

松岡 祐紀さん

株式会社ワンズワード
代表取締役、写真家

松岡 祐紀

19歳でスコットランドのエディンバラに留学。NYにてスタジオアシスタントを経験した後、ロンドンに在住。帰国後はフリーランス・フォトグラファーとして活躍。2009年にノーベル平和賞受賞者ムハマド・ユヌス氏の「ソーシャルビジネス」という理念に感銘を受け、株式会社ワンズワードを起業。レッスンの質の高さを売りにしたオンライン英会話スクール「ワンズワードオンライン」を立ち上げる。

2011年よりブエノスアイレスへ移住、さらに第三の故郷としてメキシコシティに居住。2014年3月に中南米・南米の英語学習者のためにスペイン語版ポルトガル語版英語版のオンライン英会話スクールを開設。現在は、ブエノスアイレス、メキシコシティ、日本を行き来して、ソーシャルビジネスの理念の普及と事業拡大を目指している。 >>詳しいプロフィールを読む

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17年付き合った男と別れて、駆け落ちしたと女友達から連絡があった。
彼女も自分と同じく、そろそろ40歳に届く年頃だったと思うが、人生色々ある。

以前、違う女友達から「友達になるには、何よりも過ごした時間の長さが重要」と言っていたことをふと思い出した。そんなことを言ったら、学生時代の友達が一生の友達となってしまうし、自分のような世界を転々としている人間にとってみれば、いささか不利な条件だ。


人は一瞬で恋に落ちるし、一瞬で友達になる。
それは紛れもない事実だ。

そして、長い間築き上げた関係も、一瞬で消え去ることもある。

今までも数限りないほど経験したし、今後も経験するだろう。今まで数限りないほど友人の信頼を得て、そして失い、それを今後も繰り返していくのだろうと思っている。そのなかから本当にお互いが尊重できる関係を築き上げていくのは、互いを敬愛し、許し、耐えることが必要となる。

多くの人は友情や愛情を育むのに、時間が一番必要だと思っているが、それは間違っている。そんなものは最初から必要ない。すべては一瞬で決まる。人間関係というものは、固い固形物ではなく、感情で作られた生きたものだ。常に流動的で不確かなものであり、時間がそれを補強することはなく、むしろ時間が経つにつれて、どんどんと廃れていく場合のほうが多い。

時間はおもりとなり、あらゆる人間関係に歪みを生じさせる。
多くの人は、その歪みよりも「生活」を優先させ、時を過ごしている。まさに生活の知恵といえるだろう。

誰にとっても20年近く連れ添ったパートナーよりも、新しく出会った異性のほうが眩しく見える。我々は生きた人間であり、石のように固い感情を持たない生き物ではない。感情を優先させるか、生活を取るか、ただそれだけの話しだ。そして、当然のように誰もが「普段の生活」を優先させ、感情や愛情を蔑ろにしている。それがある意味、我々の社会生活の基盤となっているからだ。

人生は長い。

20近く付き添った人よりも、新しく会った男と駆け落ちしたほうが、より幸せになれるのであれば、それはきっと正しい決断だったのだろう。人生は時間で計算すべきではなく、感情を尊重して行動すべきだ。そして、それは人から見えず、判断も出来ない。その人個人の決断が、一番重要だ。

人は多くの過ちを犯すし、間違った決断もする。

だが、一番の大きな間違った決断は、何も決断しないことだ。人は決断しないことには、前に進まないし、人生何も起きない。何か決めて、何かして、その一つ一つが人生に彩りを添えてくれる。

すべての決断が間違ったものになる可能性もあるが、その一つ一つから、何か得るものがあれば、それはそれでいい。そんな態度で人生に接するのが一番いいのではないかと最近思っている。

機械じかけのピアノのための未完成の戯曲

そんな決断をした彼女のために自分が最も敬愛する映画監督であるニキータ・ミハルコフの映画を贈る。日本ではそれほど知られていないが、紛れもない天才だ。

特にこの映画では、人生は悲劇でもあり喜劇でもあるということがよく描かれている。もう20年も前に見た映画だが、今でも強烈に印象に残っている。(ほかにも「太陽に灼かれて」「12人の怒れる男」など映画史上に残る傑作は多い。日本では手に入らないかもしれないが、「Anna 6-18」「ヴァーリヤ!愛の素顔」の2本は機会あればぜひ見てほしい。自分の映画史上、最高の二本だ)


末永くお幸せに。



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