グローバルキャリア塾 連載コラム

ニッポン人のさとり方 (第47回)

第47回: 終わりなき旅:とある日曜日のメキシコシティにて

松岡 祐紀さん 株式会社ワンズワード
代表取締役、写真家

松岡 祐紀

19歳でスコットランドのエディンバラに留学。NYにてスタジオアシスタントを経験した後、ロンドンに在住。帰国後はフリーランス・フォトグラファーとして活躍。2009年にノーベル平和賞受賞者ムハマド・ユヌス氏の「ソーシャルビジネス」という理念に感銘を受け、株式会社ワンズワードを起業。レッスンの質の高さを売りにしたオンライン英会話スクール「ワンズワードオンライン」を立ち上げる。

2011年よりブエノスアイレスへ移住、さらに第三の故郷としてメキシコシティに居住。2014年3月に中南米・南米の英語学習者のためにスペイン語版ポルトガル語版英語版のオンライン英会話スクールを開設。現在は、ブエノスアイレス、メキシコシティ、日本を行き来して、ソーシャルビジネスの理念の普及と事業拡大を目指している。

個人ブログ: https://keepmyword.hatenablog.com/

株式会社ワンズワード

(2014年3月1日掲載)

去年の7月初めに日本を発って以来、もう100回以上は自己紹介しただろうか。

オンライン英会話スクールを経営していると、みんな「きょとん」とした顔になるが、「仕事はすべてインターネットで出来るから、世界を自由に旅できる」と言うと、なぜか納得顔になる。

時々、なぜ写真家からオンライン英会話スクールの経営をするようになったのか、疑問に思う人たちがいるが、自分のなかではしっかりと繋がっている。

そもそも10代の頃に写真家を志したのは、「仕事は場所を選ばず、世界中を旅できる」という理由だからだ。

ついでに言うと、小学校3年生の頃に、タイムカプセルに「将来の夢」という題で作文を書き、2000年にそれを開けるという試みをした。どういう経緯かその作文は21世紀になって、きちんと自分の手元に届き、そこには「コックさんになって、世界中を旅して料理を振る舞って、みんなの喜ぶ顔を見たい」という趣旨のことが書いてあった。

「世界を旅する」ということは、まだ「世界」がなんたるか分からなかった時からの自分の夢だったらしい。

世界を本当の意味で自由に旅することが出来るようになったのは30代後半になってからだが、出来る限り長くこのライフスタイルを継続したい。なにせ、小学生からの夢だからだ。

自分にとっては、そのためにどうすればいいかと考えることが仕事であると言っても過言ではない。別に偶然に今のようなポジションを手に入れたのではなく、そのように常に考えていた結果だ。そして、もちろん、運がとても良かったと思う。

やりたいことが見つからないと人は言う。
でも、本当にそうだろうかと疑問に思う。
ただ単純に自分には無理だからとか、今の仕事の状況がそれを許さないからという理由で、夢を諦めているだけじゃないだろうか。

起業する前のほんの4、5年ほど前に、「数年後にはブエノスアイレスに行って、そこに住み、スペイン語を流暢に話すようになり、そしてタンゴを踊り、それからメキシコシティに行って君はサルサを踊るようになるよ」と占い師に言われても、「こいつ、頭がおかしいのだろうな」と思って、聞く耳を持たなかっただろう。

その頃の仕事は壊滅的だったし、貯金もなく、将来の展望というものも特になかった。ただ、それでも「世界を旅する」という夢は捨てていなかった。そして、ほかの人がどんなに自分のことをとやかく言おうが、自分が何者であるかけっして忘れなかったし、自分への期待を捨てなかった。

やりたいことが見つからないとか、自分の人生への目的が見えないとか言っている人は、たぶんどこかで自分の人生を諦めてしまっているのだと思う。

信じれば夢が叶うとは思わないし、誰でも夢が叶うわけではない。
しかし、だからといって、それが自分の夢を諦める言い訳にはならない。

夢や目標は時間が経てば、変わる。
でも、それをずっと追い続けることは重要だ。

たまたま運がよく、神様の機嫌が良ければ、ふとした瞬間に叶うこともある。
人生とは必然と偶然の積み重ねだ。偶然を必然にするためには、ずっとチャレンジする必要がある。

それに人生は何かを手に入れる旅ではなく、「自分とは一体何者であるか」を発見する旅だ。大事なものは外の世界にあるのではなく、すべて自分の内側にある。

南米の人々はとても陽気だ。
笑いたいときに笑い、食べたいときに食べ、飲みたいときに飲む。そして、毎日が楽しければそれでいい。

べつにそれでもいいと思う。
幸せには色々な形があり、自分の幸せを見つければいいだけだから。

人生なんていくらでも時間をかけてもいい。
人が本当の意味で年を取るのは、自分がなんたるかを忘れ、自分を見失い、それを諦めたときだけだ。

それに究極的には自分の人生を失敗しても、それもそれでありだ。
世界には素晴らしく優秀で、やさしい人々がたくさんいる。

1人の人生の失敗なんて、世界から見れば取るに足りないものだ。

南米の人たちが陽気なのは、明日のことをあんまり考えていないからかもしれない。
それはある意味、とてもいい考え方だ。

「今、なにをしたいか」
それを追求することはとても重要だからだ。

「意義ある人生や意味ある人生を送ろう」なんて殊勝なことは考えずに、まずは「今、自分自身をどうやって楽しませるか?」を考えれば、きっとその先には夢や目標がぼんやりと見えてくるようになるだろう。

ここメキシコシティは日曜日。
そして、今だ午後一時過ぎ。
これから一日を始めるにはけっして遅くはない。

今日は何も予定が入っていないが、きっとそれなりの出会いもあり、ちょっとした気の利いた会話もすることがあるかもしれない。それに仕事も貯まっている。

悪くはないと思う。
何をすればいいかは分かっているし、どのようにすればいいかも分かっている。でも結果は分からない。

それでいい。
結果が分からないから面白いし、続けられる。

今日の終わりに、昨日の自分よりも少し、ほんの少し「なにか」を分かっていればいいなと思う。

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