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コラム「ニッポン人のさとり方」第62回

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第62回 ある日本人女性の死について

松岡 祐紀さん

株式会社ワンズワード
代表取締役、写真家

松岡 祐紀

19歳でスコットランドのエディンバラに留学。NYにてスタジオアシスタントを経験した後、ロンドンに在住。帰国後はフリーランス・フォトグラファーとして活躍。2009年にノーベル平和賞受賞者ムハマド・ユヌス氏の「ソーシャルビジネス」という理念に感銘を受け、株式会社ワンズワードを起業。レッスンの質の高さを売りにしたオンライン英会話スクール「ワンズワードオンライン」を立ち上げる。

2011年よりブエノスアイレスへ移住、さらに第三の故郷としてメキシコシティに居住。2014年3月に中南米・南米の英語学習者のためにスペイン語版ポルトガル語版英語版のオンライン英会話スクールを開設。現在は、ブエノスアイレス、メキシコシティ、日本を行き来して、ソーシャルビジネスの理念の普及と事業拡大を目指している。 >>詳しいプロフィールを読む

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メキシコで知り合った日本人女性が、病気で亡くなったことを偶然FACEBOOKで知った。

彼女とは共通の友人を通して知り合ったので、特段親しい間柄でもなかったが、何回か一緒にメキシコシティで飲んで強烈なインパクトを残したので、いつも彼女のFACEBOOKは気になってみていた。

シングルマザーで、中学一年生の息子さんがいて、それでもなおかつメキシコやバリにも一人で遊びにいく自由な人だった。

スペイン語も英語もできなくても、なぜかメキシコ人と仲良くなっており、言葉が通じないメキシコ人女性から「彼女は私の親友」と紹介されていた。「メキシコに来たからには、メキシコ人男性とやりたい!」という理由で、実際にそういう関係になり、その一部始終をあけっぴろげに酒の肴にする、そんな奔放な人だった。

一昔前だったら、この程度の関係性ならば、彼女の死はこれほどリアルに感じられなかったと思う。だが、普段から息子さんの写真や話をアップし、「ついに息子に背を抜かれた!」なんて話をアップしていたのを見ていたので、なんだかとてもリアルに彼女の死を感じる。

もちろん、だからと言って残された家族や親しい友人たちの悲しみを理解できるとは思えない。ただ、彼らのやり場のない悲しみをソーシャルネットワーク上でうっすらと感じるだけだ。

何年も病で苦しんだというわけではなく、体調不良だったのも、ここ半年程度のことだったと思う。偶然、彼女も8月生まれで僕の誕生日にメッセージをくれたので、「今度、また飲みましょう!」なんてやりとりをしたが、結局それも叶える事ができなくなってしまった。

ソーシャルネットワークではなんでもかんでも共有されるし、よって悲しみも伝播し、共有される。

こんな中途半端なやり場のない悲しい思いをするならば、普段はくだらないと思って見ている「赤の他人の赤ん坊の写真やラテンの人たちが頻繁にアップするセルフィー」を見る方がまだましだ。

ここ何年か人の死に直面することがある。

そのたびに色々と考えさせられるが、いつも思うことは彼らの死のあとに、いかに自分たちがその思いを継いで生きていくかだと思う。関係が近くなればなるほど、その思いは強くなる。

けっして死に慣れることもないし、困惑するばかりだ。
だが、死に意味を求めると、もっと困惑してしまう。

楽しい人だった。
ただお互い通り過ぎただけの赤の他人同士が、少なくともそう思えるならば、その人の人生は成功だったと思うし、幸せだったのでは思う。

人は最も近い人たちのことすらよく分からない、ひどく感情的な生き物だし、多くの人は自分自身の人生ですら手に余っている。多くの悲しみも苦しみも、悩みもそこにはあっただろう。

でも、彼女は楽しい人だった。

彼女の意思を継いだ人々がより一層幸せになることを祈る。



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