パレスチナ便り (第1回)
第1回:ラマダンのガザから
特定非営利活動法人 パレスチナ子どものキャンペーン
事務局長
田中 好子(たなか よしこ)
■特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーン事務局長。1986年の同キャンペーン設立に参加。パレスチナやレバノンの難民キャンプで、子どもの教育、保健、人権に関わる支援事業をコーディネート。国連パレスチナ問題NGO国際調整委員会委員、同アジア地域調整委員会委員を歴任。パレスチナのNGOはもとよりイスラエルの平和団体や各国のNGOとの関係が深い。 同キャンペーンは1996年に東京弁護士会人権賞を受ける。
翻訳書「イスラエル兵役拒否者からの手紙」(NHK出版)。
(2009年9月15日掲載)
8月下旬からイスラム教のラマダンが始まりました。
断食月であるラマダンは、月の満ち欠けにあわせて1ヶ月続きます。この期間、太陽が上空にある間は一切の飲食が禁じられています。朝、太陽の最初の光が地平線に差した瞬間(曙光)から、夕方太陽の光が完全に地平線の向こうに消えるまで。日の出入りも月の満ち欠けも、関係者が肉眼で確かめて予定が決まります。
夕方、モスクからのお祈りの言葉が始まるのを人々は食卓についてじっと待っています。この時間は町からひとっ子一人いなくなるのです。長距離バスの運転手なども車を止めてその瞬間を待ち、慌てて食べ物を口に入れます。この夜の食事は「イフタール」といって、特別なものです。親族や親しい人たちが招きあい、日本のお節料理のように伝統的なメニューが登場し、お金に余裕のある人は貧しい人たちに食事を提供しなければいけません。
パレスチナの多くの家では、ナツメヤシ・ジュースや温かいスープを飲んで、空っぽの胃腸がびっくりしないようにします。日中、食事をしないばかりか水も飲まないだけでなく、つばを飲み込むことさえしない人がたくさんいるからです。その反動か、ラマダン中の食品の消費量は普段の倍近いといわれます。食事が済むと家族揃って町に繰り出して、散歩したり買い物をしたりします。少し眠ったら夜明け前に最後の食事。午前3時ごろになると、みなを起こすために太鼓を叩いて町を回る人がいます。
子どもにとっても大人にとっても1年でもっともわくわくするのがラマダンですが、パレスチナではお祝いどころでない日々が続いています。今年初めに大規模な軍事攻撃を受けて1300人以上が犠牲となったガザでもラマダンが始まりました。しかし破壊された数万軒の民家は放置されたままで復興はほとんど進んでいません。瓦礫を撤去する重機も、セメントやブロックもガラスさえ、ガザに入れることが許可されていないからです。
人々が楽しみにしている夜、多くの家で停電が続いています。爆撃された発電所の修復ができないからです。国連の食糧配給所には常に多くの人が列をなしています。店頭に並んだ食料品は、エジプトから地下トンネルで密輸されたもの。値段も高くて被災者の多くは購入できないからです。 子どもたちはラマダン飾りのランタンをプレゼントしてもらう習慣がありますが、「ランタンも買えない」と町の人たちは嘆きます。テント生活や仮住まいの人たちはお客を招くこともできません。ラマダンが終わったお祝いに、子どもにお小遣いを渡し新しい服を買う習慣がありますが、今年はできない人がたくさんいるでしょう。祝祭は、生活の厳しさと多くの犠牲が出た悲しみを実感せざるを得ない時期でもあります。
毎日エデュケーションさんにクリック募金でご支援いただいている「パレスチナ子どものキャンペーン」です。しばらく、現地の生活を通して、パレスチナ問題を紹介していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
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