中学高校ボーディングスクール留学 (第12回)
第12回:教育のパラダイムシフト(1)
株式会社E-Concierge
代表取締役
斉藤 克明 (さいとう かつあき)
1981年より一貫して海外の初等・中等教育コンサルティングに携わる。1999年、中学・高校留学ガイドを出版。 2001年、日本人初のアメリカに本部を置くIECA(教育コンサルタント協会)のメンバーとなる。E-Concierge代表取締役、海外留学協議会副理事長。
(2015年3月1日掲載)
パラダイムというのは、ものの見方、考え方のことですが、それをシフトするということは、変えるということです。では、なぜ「教育を変える」という日本語ではなく、あえてパラダイムなどという外来語を使うかというと、パラダイムの持っている意味合いがとても広く根源的だからです。その意味では、アイデンティティーといった外来語と似ています。
ボーディングスクール留学は、日本での中等教育までのパラダイムを明らかにシフトします。そして、それに目覚める生徒が多ければ多いほど、日本の中等教育を根本的に変える一つの方向性が見いだせると私は思っています。
このことは、センター試験の内容を変えるとか、4月入学を9月入学にするというような問題とは違います。試験の問題を変えれば、日本の大学生が合格後アルバイトやサークル活動に精を出す代わりに勉強に専念するでしょうか。同じように4月入学を9月にすれば、世界の教育潮流にシンクロして日本から多くの学生が海外に行き、また海外から多くの学生が日本に学びに来るでしょうか。
私はそうは思いません。問題は、日本の今後を考えるために若者の主体性がどのようにすれば生まれるかということであり、そのための危機感をどうしたら大学生よりも若い世代に真剣に考えられるかです。
危機感など初等、中等教育を受けている生徒が持てるわけがないと一般には考えられます。だからといって、今のままの教育システムでグローバル社会に対応できるのだろうかということは、多くの人が持っている根源的な疑問です。
だから、パラダイムシフトが必要なのです。
小手先の変革ではなく、土台を取っ払って、あらたに作り直すといった作業が若い世代に必要ではないかと私は真剣に思っています。そのように思うに至る背景に、日本の教育がグローバル時代とは反対方向に動いているのではないかと思えるくらいに初等、中等教育に活力や張りがない状況があります。
大学受験に向けて、知識を蓄積して、一気にそれを吐き出す式の教育は、高度成長期の日本を支える優秀な労働力を生み出すのには適していたかもしれませんが、今の時代で求められるのは、問題解決能力や分析力、そしてそれを実行するという能動性です。ものの見方や考え方が受け身では、即戦力として使えません。初等、中等教育の長きにわたって、与えられたことをこなすような教育を受けてきた人が、大学生になって能動性を獲得するための学習に切り替えることは、至難の業です。
<つづく>
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