ここから始まった~NGOスタッフへの道 (第2回)
第2回:いざイギリスへ
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)
リレーコラム
長谷部 貴俊
■特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC):
カンボジアやラオスでは、生活の安定を目指す地域開発活動を、パレスチナやイラクでは、医療や食料を届ける人道支援活動を実施。現場と日本をつなぐ、政策提言、調査研究も重要な活動の柱です。「問題の根本に取り組む」これがJVCのポリシーです。
【活動地】カンボジア、ラオス、ベトナム、タイ、コリア、アフガニスタン、パレスチナ、イラク、スーダン、南アフリカ
■長谷部貴俊:
英国留学で国際協力を学ぶ。現在アフガニスタン現地代表、東京事務所での事業担当を兼任。2児の父。
(2009年10月1日掲載)
私は、日本国際ボランティアセンターでアフガニスタン事業を担っています。アフガニスタン行っている地域医療活動、教育活動をどう進めていくか、スタッフ30名いる事務所運営をどうするか、治安のよくないアフガニスタンでの安全対策はどうするか、どう日本国内で支援金を集めるか、を日々考え、実行に移しています。特にこの1年半は日本とアフガニスタンを頻繁に行き来しています。また日本の国会議員や政策立案者にアフガニスタンの現状や課題をほかのNGOの人と共に訴えたりすることもあります。
現在このようなことをしている私が1995年から97年にかけてイギリスで国際協力を勉強していたときのことを中心にお話ししていきたいと思います。今回はなぜ留学したかというところをまずお伝えしたいと思います。
学部生時代は勉強というよりも、大学の恩師が紹介してくれた在日外国人支援のボランティア活動に没頭していました。なにか人のためにと言った使命感というのではなく、日本にもいろんな国から来ているんだなという興味や、そこで知合った人から私が教わることがとても多かったからです。
南米や中国から日本に来ている研修生やアジア、中近東から出稼ぎに来ている人々に日本語を教えたり、弁護士や労働組合の人たちと協力し、賃金未払いや怪我をしても補償が出ない人のために、私自身が法律のアドバイスをしたり、出続きをきちんとしてもらうために会社側と直接交渉したりしていました。その中で知合った多くの人たちは、「本当は生まれ故郷で仕事をして家族といっしょに住みたいんだよ。でも故郷じゃ仕事もないし、家族を食べさせるために日本に着たんだ。」と寂しそうに私に話しかけてきました。私は、いつしか、彼ら、彼女らといっしょに自分の地域で暮らしていけるな社会作りができればと思うようになりました。
大学4年生の始めにゼミの先生に自分の進路を相談したところ、「もし、本気で海外で国際協力を仕事としたいなら、日本の大学院に進むより海外に行くといい。まず英語は必須だし、国際協力といった実践的な学問はアメリカやヨーロッパのほうがさかんだから、そうしないさい。」この一言に動かされ、それまで海外といえばタイの農村しか行ったことがなかった私が海外で勉強することを志しました。その気持ちを両親に伝えると、始め冗談かと思いとても驚いていましたが、何度も説明するうちに、父は「本気ならばやりなさい。」と私の背中を押してくれました。
すぐに修士課程に入るには英語力(特にspeaking)や専門性もなかったので、大学院に直接入ることはためらいました。ただ、英語は好きだったので、よく英字新聞、雑誌は読んでいました。いろいろと調べていくうちに、イギリスには大学院に入る前の準備コースがあるとわかり、専門と英語の勉強が両方出来る1年間コースを見つけ、ロンドン大学のSchool of Oriental and African StudiesのFoundation diplomaというコースに申請書を出しました。合格と連絡が来たのは、大学4年生の終わりでまもなく卒業式という頃でした。周りの進路が決まる中、ひとり決まらず不安であったので、合格通知が来た際はとてもうれしかったのをいまでも覚えています。
このコースに落ちた人も結構いたようなので、あとからそんなに英語もできない、頭もいいわけでない私がなぜ合格したか不思議に思い、コースのディレクターに聞きました。「学部での成績などいくつか考慮したけど、一番の決め手は学生時代のボランティア活動だよ。」と教えてくれました。願書書類の1つである、志望動機の中にボランティア活動のことを詳しく書いていました。ディレクターはこれだけ学生時代やっていたのだから、今後勉強する上でも、しっかりとした動機があると考えたそうです。
喜びもつかの間、次回では私のイギリス時代の悪戦苦闘をお伝えしたいと思います。
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