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グローバルキャリア塾 連載コラム

ここから始まった~NGOスタッフへの道 (第5回)

第5回:タイの農村で学ぶ国際協力

特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)
リレーコラム

長谷部 貴俊

■特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC):
カンボジアやラオスでは、生活の安定を目指す地域開発活動を、パレスチナやイラクでは、医療や食料を届ける人道支援活動を実施。現場と日本をつなぐ、政策提言、調査研究も重要な活動の柱です。「問題の根本に取り組む」これがJVCのポリシーです。
【活動地】カンボジア、ラオス、ベトナム、タイ、コリア、アフガニスタン、パレスチナ、イラク、スーダン、南アフリカ

■下田寛典:
「書を捨てよ、町へ出よう」よろしく、大学在学中にコンピューターを捨ててタイの農村に飛び込む。タイの村人の「生きる力」に魅せられ、現在、JVCのタイ事業担当。


特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)

(2010年1月15日掲載)

日本国際ボランティアセンター(JVC)でタイ事業を担当しています。

前回は私がNGOのインターンとしてタイに行くまでの経緯をご報告しました。今回は、タイでのインターンを通して学べたことを書きたいと思います。

2001年5月、国内での研修を終えてタイの空港に到着しました。

タイの農作業実習

バンコク郊外にあるJVCのモデル農園兼事務所でこれから6週間の研修が始まります。研修内容は、タイ語学習と農作業実習です。

インターンの多くは、ここでの研修を終えると農村部にあるNGOの現場で活動することになるため、農作業実習は必須です。


■ 1ヘクタールはどれくらいの広さか?

研修初日の午前中に農園の説明を受けて、「質問は?」とJVCのスタッフから聞かれました。私はなにげなく「この農園はどれくらいの広さですか?」とたずねました。「だいたい4ヘクタールです」という答えが返ってきたので、「なるほど」と呟きながらノートにそれを記していました。

すると、「いま、なるほどって言っていたけど、4ヘクタールってどれくらいの広さかわかりますか?」と聞かれました。「1ヘクタールは百メートル四方だから」と答えようとすると、「それは違う」と諭されました。何が違うのか、その時はわからなかったのですが、それは昼の農作業で実感することになりました。

タイは熱帯地域で日中は35度を超します。照りつける太陽の下、農民は鍬を振り下ろし、肥料を運んで種を蒔き、水を欠かさずにやって農作物が育っていきます。農業はまさに土と共に生きる道ですが、これを実際にやってみるとあまりの重労働に参ってしまいました。溢れてくる汗、奪われる体力、固い土を耕そうにもまったく進みません。

「1ヘクタール」という広さが示すものは、単に数字や単位のことではなくて、そうした土地を耕作するときにどれだけの汗が流れているのかという「現実」のことだったのです。そして、スタッフの人が指摘していたのは、こうした現実を解っているのか、という問でした。農村で活動するNGOは、こうした現実と向き合って生活する農民と接します。現実を知らずに、「もっと肥料を与えればいい」、「もっと耕作面積を増やせばいい」と言うのは絵に描いた餅にすぎないということに気づかされました。

■ 実学としての国際協力

「タイに来れば何かができる」と最初は思っていましたが、貢献できたことはほとんどなくて、むしろタイの人や自然からたくさんのことを学ばせてもらった1年でした。私がインターンとしてタイで過ごした1年間は、「現実」の手触りを知る1年間でした。大学の講義で聞いて解ったつもりだった世界の形は、自分の手で土を耕しているうちに少しずつ明らかになっていきました。これがまさに「実学」と呼ばれるものなのだな、と思いました。

日本でも近年、国際協力を志す若者が増えていると聞きます。そうした若い人たちに、タイ農村を訪れて欲しいと思います。そして、厳しい自然環境の中でも懸命に生きる人たちがいることを知ってもらいたいと思います。JVCはそのためのお手伝いをしています。

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