海外経験をキャリアにつなげる！ ～「留学」の先にあるもの～　（第1回）

「留学する」という選択肢を考えるとき、その動機や目的は人によって様々だと思います。でも、留学前の時点から、留学の先にあるキャリアのことまで考えている人はどれくらいいるでしょうか？

私がアメリカ留学を夢見るようになったのは、中学2年生の時でした。それまで特に英語や外国に興味があるわけでもなかった私は、ひょんなことをきっかけに、アメリカ・ワシントン州のシアトルでホームステイをすることになりました。「もっと英語を勉強して、いつかこの家族に会いにアメリカに戻ってきたい！」――。そんな小さな夢が、やがて「アメリカの大学に行きたい」という具体的な目標へと変わっていきました。

大学時代のアメリカでの留学生活は、とにかく忙しく、文字通り目が回りそうな毎日でした。日本でそれなりに勉強したはずの英語もなかなか通じないし、授業でノートをとったり課題をこなしたりするのも一苦労。もちろん、最初のうちは友達らしい友達もできなくて、すべて投げ出したいと泣きたくなることも多々ありました。

今振り返ってみると、留学を夢見るようになった中学生の私にとっても、大学生になってついに留学を実現した私にとっても、「留学すること」は大きな「ゴール」であり続けていました。とにかく、長年思い描いてきた留学生活を完結させることに夢中だったように思います。

でも、本当にそれだけで良かったのでしょうか？

踏んだり蹴ったりのスタートを切った私の留学生活は、その後少しずつプラスの方向に変化していきました。友達もできたし、授業にもついていけるようになったし、様々な壁を乗り越えたことが、私にとっての自信にもなっていました。でも、卒業を数ヵ月後に控えたある日、ふと思ったのです。「もうすぐ、長年追い続けてきた目標が終わってしまう。次はどこに行ったらいいのだろう？」、と。

当時の私にも、もちろん将来の目標はありました。アメリカでの留学生活は、それを実現させるための大切なステップであるはずでした。けれど、具体的な行動は起こさないまま、目の前にある留学生活に追われて卒業直前というところまできてしまいました。そこからです。留学の先にあるキャリアについて真剣に見つめ直して、いよいよ「就活」をスタートさせたのは。

現在私は、「マイナビ国際派就職」の学生サポーターとして、留学前や留学中、帰国後の方を対象にした就職ガイダンスを開催しています。その中で、「留学生活を終えて日本に帰国してみたら、新卒採用の波に乗り遅れてしまって仕事が決まらない。留学したことを後悔している」という相談が時々寄せられます。そのたびに、私はとても悲しく思います。きっかけはいろいろだと思いますが、留学を志した時の気持ちは前向きで晴れやかなものだったはずです。だからこそ、留学を後悔することだけはもったいない！と思うのです。

留学生活の中には、かけがえのない財産がたくさんあるはず。それをその先の道に活かすことができてこそ、「留学して良かった！」と心から思えるのではないでしょうか。今後のコラムの中では、留学とキャリア、具体的な就職活動について、私自身の経験や現在の仕事を通して思うことをご紹介していきたいと思います。