海外経験をキャリアにつなげる！ ～「留学」の先にあるもの～　（第4回）

マイナビ国際派就職の広報をしている中で、これから留学を考えている方や、現在留学中の方とお話をする機会が多くあります。最近の景気動向や「就職難」といわれる時代が影響してか、留学と就職に関する質問がだんだん増えてきました。そういった相談を受けた時には、「どんな仕事がしたいの？」と聞いてみるのですが、「留学経験を活かした仕事がしたい」という答えがとても多く返ってきます。

留学していた頃の私もそうでした。でも、語学力を活かすことや海外出張といった分かりやすい点以外に、どんなところで留学経験が役に立つのかということが、まったくイメージできなかったというのも事実です。今日は、ひとりの社会人として、「留学経験は仕事の役に立っているのか？」ということについてご紹介したいと思います。

実際に社会人として働いてみてどうかというと。

私個人の実感ですが、留学中に身に付けたことは仕事の中に「生きている」ように思います。それは、「留学経験を活かしている」という感覚とは少し違います。

ラッキーなことに、私は今の仕事の中で英語を使う機会が時々あります。英語でのリサーチや資料英訳といった実務もあれば、オーストラリアに留学中の方を対象にした就活入門セミナーの開催で海外出張をすることもありました。こうした仕事をすることは、留学経験を「活かしている」瞬間かもしれません。でも、どちらかというと日々考えていることや仕事への取り組み方の中にこそ、留学経験の中から得たものが息づいているように思うのです。

例えば、思いついたことは言葉や行動に表すこと、自分からチャンスを掴みに行くこと、失敗を恐れないでとりあえずやってみること、妥協しないで努力すること。また、分からないことは素直に分からないということ、必要と思う時には自分の意見を主張してみること（“出る杭”になっても！）、その代わり失敗からも成功からも、何でも謙虚に吸収しようとすること。抽象的な表現になってしまいますが、また、いつも意識しているわけではないのですが、目の前にある仕事に対する取り組み方の中で、留学時代に鍛えられた自分にふと気付くことが多々あります。

日本には日本のビジネスマナーがあり、ビジネスルールがあり、コミュニケーションの取り方があります。そういったものへの知識が足りず、あるいは配慮に欠けて、失敗して落ち込んでしまうこともよくあります。だけど前に進むしかない！というポジティブなエネルギーはまた、留学時代のいろいろな経験を乗り越えたからこその財産のような気がしています。

「留学中に学んだツーリズムの知識を活かして、旅行業界かホテル業界に就職したかったけれど、叶わなかった。私が就職するのは地元の小さな商社なんです。本当は、もっと留学経験を活かした会社に就職できればよかったんですけど」

少し前、もうすぐ就職する学生の方がこんなことを話してくれました。希望していた業界での就職が叶わずがっかりしているようでしたが、留学経験を仕事の中に活かすチャンスはこれからいくらでもあると思います。英語を使うことがあるかもしれないし、海外に行くこともあるかもしれません。でもそれ以上に、先ほどご紹介したような形で、日常の仕事の中にこそ密かに「生かされる」力も、たくさんあると思うのです。

やってみなければ、わからない。それは留学中だけでなく、その後のキャリアの中でもずっと続いていくものなのだろうと思います。