国際機関で働く―ことはじめ―　（第4回）

■「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」とは？

　外務省では、平和構築・開発分野で今後キャリアを形成していく意志を持つ方を対象に「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」を外務省委託の形で実施しており、平成２７～２９年度は、一般社団法人・広島平和人材育成構築センター（HPC）がその業務を行っています。

■事業の２つの研修コースとキャリア構築支援

　本件育成事業は、２つの研修コースとキャリア構築支援から構成されています。

（１）「プライマリー・コース」
２年以上の実務経験を有する若手人材向けの「プライマリー・コース」では、約6週間の国内研修と約1年間の海外実務研修（国連ボランティア（UNV））として海外にある国際機関のフィールド事務所で勤務の機会を提供します。

（２）「ミッドキャリア・コース」
10年以上の実務経験を有する方を対象にキャリアアップを支援するコース（約1週間）です。

（３）「キャリア構築支援」
国際機関等での就職を希望する方を対象に，ポスト獲得に必要なスキル・知識を提供するセミナーを実施しています。

　今回は、「国際機関で働く―ことはじめ―」がテーマですので、「プライマリー・コース」について詳しくご紹介したいと思います。

■「プライマリー・コース」について

　本年度同コースは、将来、特に平和構築や開発分野でのキャリアを構築するという強い意志を持ち、大学学部卒以上の学歴と既に同分野で2年以上の実務経験（インターンやボランティア経験も考慮されます）を持つ日本人15名、外国人10名を研修員とし（選考があります）、2017年1月13日（金）～2月24日（金）までの約6週間、国内研修（英語）を実施する予定です。
　国内研修終了後、日本人研修員は海外実務研修に1年間派遣されます。海外実務研修中は、平和構築・開発の現場で活動する国連や国際機関のフィールド事務所、国連PKOミッション等において国連ボランティア（UNV）として実務を行うことになり、実際に国際機関で勤務するという経験が得られます。

■国内研修の内容

　国内研修では、１日約６時間の講義とワークショップを行います。全体的に研修員・講師間、研修員間の相互交流による問題解決型学習法を取り入れた参加型の研修となります（座学のみではないということです）。
　３つの指針として、「実践的な知識・技能の付与」、「Competencies（業務能力）の向上」、「人的ネットワークの促進」を掲げ、講師陣、本コース卒業生、同期生とのつながりを重視します。
　講義内容をピックアップすると、紛争の分析、プロジェクト立案の手法、口頭発表スキル向上、人道援助活動の政策的課題、CVライティング・スキル向上、インタビュースキル向上、プロジェクト運営の手法、開発援助活動の政策的課題、文書作成スキル向上、安全管理術、キャリア構築技能向上などとなっています。

■海外実務研修の内容

　同コースの海外実務研修は、国連ボランティア計画（UNV）から１年間の派遣となります（注：UNVの詳細については、このコラム連載「国際機関で働く―ことはじめ―」の第１回「国連ボランティアとして国際機関で働く」を参照ください）。
　UNVを通じた海外実務研修は研修員の専門知識や技能を強化するものではありますが、UNVの任務自体は研修（トレーニング）ではなく，専門家としての技能を用いて平和構築・開発に貢献することが期待されています。

　以上のように、外務省委託事業「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」の「プライマリー・コース」は、コースに参加することで、国際機関への就職に必要な知識と経験を得られる貴重な体験を提供します。
同コースの詳細については、現在、事業を委託されている一般社団法人・広島平和構築人材育成センター（略称HPC）の以下のURLをご覧ください。
本年度は9月30日（金）（日本人応募者）まで、応募受付中です。

http://www.peacebuilderscenter.jp/courses/index.cfm

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