Where there is a will, there is a way ～意志あるところに道は開ける～　（第1回）

はじめまして！文美月と申します。
私は、会社退職後の留学から10年ほどの間に、あれよあれよと人生が変わった人間の一人です。私のコラムが皆様の人生の小さなヒントにでもなれば、嬉しく思います。

思い切って留学したソウルで韓国語と文化を学んでいた1997年、私は人生の配偶者に出会い、結婚。大阪で結婚生活を送りながら再就職活動をしていたある日、ソウル旅行に当選。次男授乳中の身でしたが、インターネット起業の波を感じていた私は何か強烈なチャンスを感じ、観光旅行を仕入れ旅行に変えて再渡韓。それを機に、子持ちで再就職するより「自分の雇用を自分で作る」と発想を変えて起業、知識ゼロからインターネットで通販を始めました。

紆余曲折を経て、数年後夫が経営に参加し、気付けば中国・韓国に工場と事務所を持つ規模に。同じプラスエネルギーを持つ夫と、衝突しながらも良いビジネスパートナーになれた事は、私の人生に劇的な変化をもたらしました。

今でもふと思うことがあります。あのとき留学せずにいたら、私は今どうしているだろう。当時私は企業融資に関わり、転勤した東京でキャリアアップを目指していました。あのまま頑張っていたら、社会的な安定は得ていたかもしれない。でもどこか心の空洞を感じていた当時の私が、いきいきと自分の人生を楽しめていたかと考えるとやはり疑問が残ります。

かたや今の私には、企業勤めのような安定などありません（ある意味今は企業勤めも不安定な時代ですが）。
経営者が進化出来なければ、会社とスタッフの未来はないでしょう。自由には常に責任が伴います。しかし私は、人生を自分の足で生きているという実感があります。失敗や苦労があっても、お客様の笑顔、頑張ってくれるスタッフ、温かく支えてくれる家族の存在が、私を頑張らせてくれるのです。

私は在日コリアン3世。高校卒業まで通名（日本名）で学校に通いました。在日コリアンに対して強いネガティブ感情はなかったもののプラス感情も全くありませんでした。「みんなに知らせずに済むなら、知らせなくていい」と。まだ自我が確立される前の内気な私には「みんなと同じような名前」が妙に心地良かったのです。保守的な奈良の土地柄も私をそうさせていたのかもしれません。

「自分は何者で、なぜこの日本のこの裕福な時代に、外国人として（しかも日本人とほぼ同じような外見で）生まれたか」という問いは、思春期の私を大いに悩ませました。

そんな私が大学から本名に変え、当時在日では難しいと言われた日本の大手企業への就職にチャレンジし、“出来れば避けていたかった韓国”に留学を決意するまでのお話を、次回させて頂きます。