NZで見つけた最良の教育 (第4回)
第4回:ニュージーランドの正規留学とは
エバコナ EVAKONA
学校長
マクリーンえり子
1950年、東京生まれ。大学卒業後に1年間イギリスに滞在、帰国後は海事広報協会の旬刊紙「海上の友」記者。結婚して3人の子をもうけるが、1989年に母子4人でニュージーランド(NZ)に渡り、その後NZ人と再婚。1990年から地元の公立高校で日本語教師として教える。2001年に退職し、高校に隣接した場所で、NZの大学や高校に留学を希望する生徒たちのための準備校・補習校として語学学校EVAKONA(エバコナ)を開校する。2008年8月には共同通信社発信、日本全国34紙で掲載中の「日本遠望」でその教育活動が紹介された。ニュージーランドから電話、スカイプでの無料教育相談も受けている。
(2009年9月1日掲載)
ニュージーランド留学は大きく分けて2つの種類に分けられると思う。
一つはニュージーランドの大学、専門大学(ポリテクという)や高校に留学する正規留学で、もう一つはニュージーランドの語学学校で英語を勉強する語学留学だ。この二つは連携していてほとんどの留学生はニュージーランドの大学や高校に入る前に語学学校で英語を必要レベルまで習得してから次のステップに進む。
人口の少ないニュージーランドには国立の総合大学が8つしかない。また多数ある専門大学や小、中、高等学校もほとんどが国立だ。そのため国民には学費は安いが、外国からの私費留学生の場合は私立校並の学費がかかってくる。
私の3人の子供たちもニュージーランドで小、中、高をへてニュージーランドの大学を卒業したが、その教育水準は非常に高いと感じた。日本とは教育システムが違うので比べにくいのだが、体験教育を沢山とりいれた底力の付く教育だ。
去年、インターネットで世界の大学のランキングを調べていたら、ニュージーランドの大学がトップ300の中に全部が入っていて驚いたが、私の子供達の経験からしてもうなずけると思った。例を一つだけ挙げると、大学で工業デザインを専攻した私の息子が大学3年生のとき、彼のクラスメイト全員が大学の勉強の一環で韓国の家電メーカーLGのデザインコンテストに応募した。そのコンテストには世界各国から3000人以上の作品が応募したそうだが、なんとその中で彼のクラスの5人までが上位100位に入選している。そしてその中の1人は3位だったそうだ。
さて、私費留学生としてそのニュージーランドの大学に入るには英語力が必要だ。その目安は英国の英検IELTSのスコア6.0となっている。これは語学学校で上級コースを終了したレベルで、読む、書く、聞く、話す、のすべての実力が要求される。
各大学には正規のコースに進む前の準備コースとして1年間のファンデーションコースというのがあり、高校終了した日本の留学生にはここから始めることを勧める。これにはIELTSのスコア5.5が必要で、専門大学入学にもコースによるが、平均的なところでIELTのスコア5.5が必要だ。
これが高校入学となると各学校で基準が多少異なるが、語学学校のレベルで言えば中上級レベル終了というところだろう。私の経験ではこうした英語レベルの目安は最低限で、それ以上あるに越したことは無い。英検でカバーする英語というのは限られているので、いざ入学して科目をこなすとなるとそれはまた難しい。
それで私の学校EVAKONAでは高校入学準備コースのなかでこちらの11年生(日本の高1)の教科を導入し、ニュージーランド文部省のレベル1(日本の高1)の単位を80単位修得させて、次の年に現地の高校の12年生、レベル2(日本の高2)から入るというシステムをとっている。それによって高校に入ってからの成績がだいぶ違うようになった。その上、ニュージーランド人の学生と同じレベルできちっとこちらの高校を出ることができるので、IELTSのスコア無しでそのままニュージーランドの大学にも進めるのだ。
ちなみにニュージーランドの小、中、高教育は通算13年間(1年生から13年生まで)で、日本より1年長い。義務教育は5歳の誕生日から始まり、小学校が6年間、中学が2年間、高校が5年間となっている。そして高校最後の3年間は各教科NCEAと呼ばれる文部省認定の単位を取得しなければならない。この単位数が取れていれば大学や専門大学が受け入れてくれる。何と日本のような地獄の大学入試がないのだ! 大学はコースにもよるが文学系は3年間のコースが一般だ。
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