国際派アスリートたち (第3回)
第3回:FN/GTドライバー~山本尚貴選手
スポーツコラムニスト/マーケティングジャーナリスト
竹内 博信
大学卒業後、外資系メーカー、市場調査会社などに勤務。主にマーケティング業務に従事する。その傍らでオブザーバーとして数々のスポーツを取材、アスリートとの親交を深める。彼らの半生を描いたノンフィクション小説を上梓予定。趣味は旅行、観劇、映画鑑賞他多数。
(2010年6月1日掲載)
こんにちは。竹内博信です。
先日5月30日に米国インディアナポリス州で行われたINDY500ではロジャー安川さんが元F1ドライバーの佐藤琢磨選手のスポッター(サーキットにある高いスタンドから指示を出す役割)としてレースに参加、佐藤選手は初出場ながら20位完走を果たしました。9月にはINDY CARのレースが日本で開催されます。ロジャー選手の活躍が今から楽しみです。
ロジャー安川選手に続く国際経験のあるドライバー、今回は山本尚貴選手のお話しをします。
山本選手は1988年生まれの21歳。今シーズンからフォーミュラ・ニッポンとSUPER GT 500クラスという国内最高峰レースカテゴリ2つにステップアップした、今、若手の中で最も注目されているドライバーです。
山本選手のレーシングキャリアのスタートは幼稚園年長の時です。祖母の家に遊びに行った尚貴少年はそこで「近所にカート場がオープン」したことを知り、毎週末のように通い始めます。そして6歳の時に見た1992年のF1日本グランプリ(鈴鹿サーキット)でのマクラーレン・ホンダ:アイルトン・セナに魅せられました。
「マクラーレン・ホンダの赤と白のマシン、それにセナの黄色いヘルメットの美しいカラーリングがとても印象的でした。」
その感動を昨日のことのように振り返る山本選手の瞳は少年のように輝いています。
「セナのようになりたい!」 レーシングカートに夢中になった山本少年は元F1ドライバーの鈴木亜久里氏が主催するARTAというレーシングドライバー育成プログラムに参加、見事にイタリア留学のスカラシップを勝ち取ることになります。
中学卒業間近、高校入学を控えていた尚貴少年は希望に満ち溢れイタリアに渡ります。しかしそこで思わぬ事態に直面します。
「英会話は少し習っていたので何とかなると思っていたのですが、実はイタリア語というのがあることを知らなかったのです。カウンターの人に『オレンジジュースを下さい』と言ったのが通じなくて。このままではもう生活できないと思いました(苦笑)」
その後、ホテルの自室に引きこもるようになる山本選手。しかしチームのメカニックとコミュニケーションが取れないとカートの細かなセッティングを調整することができません。レースでも苦戦が続きました。そして、「このままではいけない」と思い、チームのメカニックの家に泊めてもらうように依頼しました。「掃除や洗濯を手伝いながら少しずつ会話を覚えていって。普段はミラノから少し東にあるブレッシアという街に住んでいました。レースの無い週末はメカニックの実家がミラノにあるのでクルマで連れて行ってもらって、実家のお母さんにご飯を食べさせてもらったりしました。
住んだことが無い国での慣習やイタリア語、英語といった外国語でのコミュニケーションで苦労した山本選手のイタリアでの一年目はシリーズ29位というほろ苦い結果に終わります。それでもこの苦境について辛いとは思わず、「自分は本当に恵まれた環境にいる」と常に感謝の気持ちを忘れずに日々、努力を続けていきます。
語学力とコミュニケーション力が備わってきた山本選手は欧州のドライバーとレースをしていく中で着実に国際人としての感性・感覚を育んでいくことになります。
次回は山本選手のイタリア二年目の活動と今シーズンの活躍そして将来の目標について紹介してまいります。
(写真撮影:福田滋)
~続く
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