異文化体験おもしろ話 (第4回)
第4回:イギリス英語は日本人向き?
株式会社ナバ
代表取締役
高田 容冶(たかだ よしはる)
東京都出身。米国カリフォルニア州ウッドバリー大学を中退して21歳で起業。以来、3件のベンチャー企業を設立。現在(株)ナバ代表。約25年間最先端の精密計測システムの開発を通じて日本の工業製品の品質管理に注力した後、1993年に日本でインターネットの商用サービスが始まったのを受け、情報の品質管理に移行。IT活用などを通じて世界の中小企業や職人の市場開発、国際化支援活動を展開中。
(2009年8月1日掲載)
アメリカで約1年半、大学生活を送ったときに、私用で一時帰国しました。そして、プライベートな話ですが、日本とアメリカで遠距離恋愛中だった彼女に振られて自暴自棄になり、暫くの間、大学に戻らずにフラフラとしていたんです。
そんなとき、前々回のコラムで書いた、アメリカで通訳を頼んできた会社から、今度はイギリスに商談で、しかも一人で行ってくれないかという話が飛び込んできたのです。まず思ったのは、「大学には自分が本当に勉強をしたくなった時に戻ればいい。なにも大学に行くだけが留学ではない。これも立派な社会経験という名の留学ではないか。」ということでした。(本音を言うと、ただ勉強嫌いだっただけかも知れませんが)
という訳で、即決しました。21歳になる直前のことです。
当時はイギリスに行くには直行便はほとんどなく、それにまともなルートで航空運賃は往復80万円もかかりました。一番速くて廉かったのがアエロフロート(ソ連航空)でモスクワ経由ヒースロー空港というルートで、運賃も確か40万円ほどだったと記憶しています。
18時間もの長旅でロンドンに着いて驚いたのが物価の高さです。当時、1ポンドが800円でした。今では考えられないですね。とにかく、何でこんなに物価が高いのか!と思ったのは、依頼主の会社が手配してくれたホテルが一泊40ポンド。お世辞にも立派とは言えないホテルが一泊32,000円ですからビックリです。ただ、とにかくどの目的地にも地下鉄と電車を乗り継いで行けるのが便利でしたね。
最初の訪問先はイングランド西部サマセットにある都市、バース。Bathという名前から分かるように、古くは2世紀のローマ支配時代から温泉施設で知られた町です。ロンドンのパディントン駅から夜行寝台列車に乗って、朝早くバース・スパ駅に着きます。
今ではそんなサービスは無くなったと聞きましたが、列車が出るときに車掌に「翌朝何時にモーニングコールと朝食を」と頼んでおくと、きちんと正装したボーイが一分と違わぬ正確さでワゴンを引いて部屋にコンチネンタルブレックファストを持ってきてくれました。そして、右手に紅茶の入ったポットを、左手には温めたミルクの入ったポットを持ち、「ブラック オア ホワイト、サー?」と聞いてきます。「ホワイトプリーズ」というと、ティーカップに右手と左手の両方のポットから同時に紅茶とミルクを注いでくれる。アメリカでは経験できなかった英国文化に触れた気がしました。今でもその時の情景は細部までしっかりと記憶に残っています。
(写真:バースにて)
とにかく無事に目的地に到着し、相手の会社の担当者に町を案内してもらい、夕方ホテルにチェックインしました。私をホテルに送り届けたその担当者は「アイ ウィル シー ユー アト アイツ トゥモロー」と一言残して行ってしまった。疲れでボーとしていた私は、てっきり「明日アイツという場所で会おう」という意味にとったのですが、さて、アイツとはどこだ!?
ホテル内の誰に尋ねてもそんな場所はないと言う。困ったなと思いながら、周囲の人々の会話を聞いていて自分の勘違いに気づき、笑っちゃいました。アイツは場所ではなくエイツのこと、つまり明日8時に会おうということだったんですね。アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いの面白さを体で感じた最初の出来事でした。
このイギリス旅行での面白い体験は山ほどあるのですが、それは次回にしましょう。
とにかくこの旅行が縁で、それから約20年間で実に100回以上イギリスを訪れることになるのですが、慣れてくるとイギリス英語はアメリカ英語よりもはるかに聞き取り易いし、話し易い。少なくとも私には相性がやたら良かったとみえて、今でも色々な国の人と英語で話をしていると「あなたはイギリスの大学を出たのですか?」とよく言われます。そして、イギリスは私が最も愛する国の一つになったのです。多くの無知な日本人がイギリスの食事は不味いと言いますが、私が知る限りイギリスの食事はとても美味しいですしね。
それでは続きは次回ということで。
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