グローバルキャリア塾 連載コラム

こうして僕は世界を変えるために一歩を踏み出した (第3回)

第3回:一歩を踏み出す勇気を与えた「言葉」

特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス
理事長

鬼丸 昌也(おにまる まさや)

1979年福岡県生まれ。立命館大学法学部卒。高校在学中にアリヤラトネ博士(スリランカの農村開発指導者)と出逢い、「すべての人に未来を造りだす力がある」と教えられる。2001年、初めてカンボジアを訪れ、地雷被害の悲惨さと、地雷を通じて見えてくる世界の諸問題の原因を知り、「すべての活動はまず『知る』ことから」と、多くの人々へ伝えるための講演活動を始め、現在では年間100本にのぼる。 同年、「全ての生命が安心して生活できる社会の実現」をめざすNGO「テラ・ルネッサンス」設立。カンボジアでの地雷除去支援・義肢装具士の育成、日本国内での平和理解教育、ウガンダ北部での子ども兵の実態調査、小型武器の不法取引規制に関するキャンペーンなどを実施。2002年社団法人日本青年会議所人間力大賞受賞。

特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス

(2009年8月15日掲載)

カンボジアで地雷原を訪れたことが、僕に大きな転機をもたらします。

地雷原(地雷除去現場)で、見つかる地雷の数々。
これらの地雷が、子どもたちや多くの人たちの手や足、命さえも奪っていく。
この現状を見た時に、自分に何ができるのだろうと考えてみたのです。

でも、何も思い浮かびません。
地雷除去のために、特別な技術を習得しているわけでもない。
多額な寄付をして、地雷除去を勧められるような裕福な人間でもない。
一体、自分に何ができるんだろうと、心の中でぐるぐると答えを求めて、「問い」がめぐり続けます。

そんな時に、ふっと心の中に言葉が浮かぶのです。
 

Change is possible!
Anything is possible!
We should always strive to make the best of what we have!

(変えられないものなんてない。
なんだって可能だ。
僕たちはいつだって、自分のやれる限りのことをめいっぱいすればいい。)


地雷廃絶運動家であり、義足のランナーとして、長野冬季オリンピックの聖火の最終ランナーとして有名なクリス・ムーンさんの言葉でした。

彼は地雷除去団体で勤務しているときに、不幸なことですが地雷に触れ、右手足を切断することになります。けれども、彼はその状況を嘆くのを止め、地雷で手足を失った自分だからこそ「地雷問題」に立ち向かえると、決心するのです。

彼にとって「地雷問題」と立ち向かう方法。
それは「走ること」でした。
義足をつけ、一生懸命リハビリに励みます。
そして、一年後、母国イギリスで開催されるロンドンマラソンに出場。42,195キロのフルマラソンを5時間29分で完走する偉業を成し遂げます。その後も、世界の各地で地雷廃絶と、人間の可能性について走りながら、訴えていました。

そんな彼の言葉が、僕を後押しするのです。
「動け」と。


▼悪魔の兵器、地雷。罪のない民間人を襲う

地雷撤去作業

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